ワクチン不足に揺れるEU。ロシア製「スプートニクV」で生じた不協和音

 

【サーチ&リサーチ】

2020年9月9日付
アストラゼネカ製ワクチンの治験を一時中断すると報じた記事の中で、次の記述。「ロシアのプーチン大統領は8月、最終治験も始まらないうちに、ワクチンの「世界初承認」を発表。ワクチンは世界初の人工衛星にちなみ「スプートニクV」と名付けられ、国威発揚の意図がにじむ」と。

2020年10月15日付
スプートニクVに続く2例目のワクチンを承認したとプーチン大統領が発表。やはり大規模治験は“省略”された。「新たなワクチンは、国立ウイルス学・生物工学研究センターが開発した「エピワクコロナ」。アレルギー反応が起こりにくい特徴があり、高齢者などに対する安全性がより高いとしている」と。

*ワクチン外交についての記事がこの辺りから出始める。

2020年11月22日付
飽くまで自国民第1の米国に対して、ロシアは「世界のワクチン供給で主要な役割を果たす姿勢を強調」しているとの記事。「プーチン大統領はG20サミットで「ワクチンは公共財産であるべきだ。ロシアは必要な国に提供する用意がある」と表明。開発競争よりも人道面に配慮するべきだ」としたという。

2020年11月30日付
記事のタイトルは「ワクチンいかが、ロシア攻勢 「安全・安価」EU加盟国にも 大規模臨床試験後回し、世界初承認」。
ロシアはスプートニクVの有効性と共に「安さ」を強調。「販売攻勢は、ロシアと関係が悪化する欧州連合(EU)域内にも及ぶ。19日には、ハンガリーに試験用のサンプルを提供。有効性が確認されればハンガリーは年明けにも大規模な調達を始め、現地生産に向けた協議も進めているという。ただ、EU域内での使用には欧州医薬品庁(EMA)の承認が必要だ。EUの基準をクリアする必要があり、ハードルは高い。同基金のドミトリエフ総裁は、「政治的事情のため、EUへのワクチン供給は簡単ではない」と主張している」という。

*因みに、スプートニクVのロシア国内での評判は芳しくなく、アンケートでは73%が「ワクチンを打ちたくない」と回答。原因の1つとして「プーチン大統領が避けている」ことが指摘されている。

*12月にはロシア国内での大規模接種が始まったが、臨床試験が終わっていないことから、「60歳以上の高齢者や妊婦は対象外」。

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