日本が「衰退途上国」の道から脱却するために優先すべき“4つの産業”

 

経産省の「経済産業政策の新機軸~新たな産業政策への挑戦~」は、このコラムで主張していた産業政策を行う方向であり、2012年に主張していた金融緩和で資金を作り、その金で産業政策を行うべきであるとした提言をやっと実行するようだ。

黒田日銀の金融緩和は良かったが、アベノミクスの成長戦略は、ほとんど機能しなかった。それは安倍首相が各省庁の意見を入れてしまい優先順位がはっきりしなったことによる。

この点、梶山経産相は、日本の衰退が企業競争力の衰退で起きていることを認識していることが大きい。菅政権で梶山さんを経産省のトップにしたことは成功だと思う。

国家が中心に新機軸を立てて、それに民間資本も集めて産業力を強化することになるという。昔の通産省のように国が主導することになる。民間だけでは、国内競争で疲弊してしまい、国際的な競争力を失うことを経産省もやっと理解したようである。

そして、大きいのが、そのような国家主導経済を米国も実施することで米国から非難されないで、実行できることである。

政府による市場の創造で、政府もリスクを負う「起業家国家」、クラウド・インなどの理念のもとに、意欲的な目標設定、産官学連携、規制・制度見直し、国際標準化推進、民間資金の誘導、国際連携等、イノベーティブな社会環境の整備に向けて政策ツールを総動員すると宣言している。

そして、財政出動で大規模・長期・計画的というからすごい。

その1つとして、半導体分野の自給を目指して、資金を入れることになる。

もう一度、日本の置かれた状態を見ると、衰退途上国の道を歩んでいる。人口も減少して、最先端産業の企業力も弱り、徐々に日本の企業が劣後になっている。

この状態を抜けるためには、国家の全体戦略を立てて、優先順位を決めていくしかない。

国の安全保障上では、

  1. エネルギー確保
  2. 食糧確保
  3. 資源確保
  4. デジタル化:世界から遅れている

で、この4つの産業優先順位が高い。特に半導体はIT化・AI化・制御化で、その重要な装置に必要で、重要な資源である。人口減少社会では、納税者が減り、行政の効率化が必要になる。そのテーマの中心がデジタル総合政府の構築になる。

4つのうち、産業規模では、エネルギー産業が一番大きい。このエネルギー産業は転換点に来ている。脱炭素経済に移行するために、早急に確立することが必要な産業である。

日本では、太陽光発電・風力発電・地熱発電・水力発電の4つで、行くしかない。

そして、太陽光発電のパネルを奈良県の面積分置ければ、日本の今の家庭用総電力を賄えることはわかっている。しかし、夜の時間帯に使用する分は、電池にためる必要がある。そのため、総コストが大きくなる。このため、分散した家単位で電気の自給が焦点になる。

それと、自動車がEVになるために、そのガソリン分の電気は見込んでいないことと、工場分、交通分の電気が必要になる。この分の電気を豪州の砂漠で発電して、日本に水素の形で持ってくることになる。

水素をアンモニアなどに加工して持ってくる方が輸送コストが安いので、そのような仕組みも作る必要がある。この全体系を国が主導するべきである。

後の2つについては、次回で述べる。次回は植生文明の時代が来るという私の構想を再度説明する。

さあ、どうなりますか?

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