5年で1000億の異常。政府「すべて丸投げ体質」が招いた五輪開会式の大混乱

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先日掲載の「無駄で無謀。東京五輪の開会式はNYタイムズ記者の目にどう映ったか」等の記事でもお伝えしているように、賛否両論が入り乱れる東京五輪の開会式。批判意見の中には「演出の脈絡のなさ」を指摘する声が多く聞かれましたが、何がこのような事態を招いたのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、日本政府の五輪開会式に関する「丸投げ体質」の裏側を紹介しています。

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電通利権が招いた五輪開会式直前の演出陣ドタバタ解任劇

午後8時から始まって、終わったのが12時前。光の絵巻物をながめるうち、途中で眠くなり、終盤は二人の会長の挨拶が長くてイライラ…。東京オリンピックの開会式を見た筆者の感想である。

当然、評判はさまざまで、海外メディアでは絶賛もあれば酷評もある。日本の識者にも、「金返せ」(北野武氏)だの「開会式は金メダル」(木村太郎氏)だのと、極端な言い方をする人がいる。

ただ、あえて不足をあげるなら、“統一感”の無さだろう。個々には見ごたえのあるショーがあり、感激するシーンもあったのだが、全体を貫く“美学”のようなものが感じられなかった。

お家芸となったサブカルチャーを多用すれば重厚感に欠け、伝統にこだわれば渋みが強すぎる。しかし、日本を表現するにはどちらも必要だ。そこに、総合的な演出力を発揮すべき余地がある。

もう亡くなってしまったが、長野五輪を演出した劇団四季の浅利慶太氏や、国際的な評価の高かった演出家、蜷川幸雄氏のような存在が全体を見渡し、混然一体とした美しさに昇華できれば、よかったかもしれない。

新型コロナ緊急事態宣言下の東京で幕が開いた東京五輪。周知の通り、開会式直前にいたって、演出や音楽にかかわる重要なスタッフが辞めたり解任されたりするドタバタ劇があった。

開会式の楽曲を担当していた小山田圭吾氏は、若いころ、障害者に“いじめ”をしていたのを自慢するかのように話していたことが表ざたになり、辞任した。総合演出の小林賢太郎氏は、お笑い芸人時代にユダヤ人虐殺をネタにしていたカドで解任された。

小山田氏や小林氏を式典演出の重要なポストに起用したことで、サブカルチャー色を強める狙いがうかがえた。小山田氏の実験的なロックミュージックといい、一風変わった小林氏のコントといい、現代的、かつ個性的だ。

彼らがいなくなったことで開会式の演出が変わったのか、あるいは変わらなかったのか、よくはわからない。しかし、何の影響もないのなら、彼らはいったいどんな存在だったのか、ということになる。

パナソニックが東京五輪用に開発したプロジェクションマッピング。1,824台のドローンが国立競技場の夜空に浮かび上がらせた“地球”の輝き。荒事の演目「暫(しばらく)」の衣装をまとった市川海老蔵さんの豪快な見得と、上原ひろみさん奏でるジャズピアノのコラボ…それぞれ見事だった。王貞治氏、松井秀喜氏とともに元気な姿を見せた長嶋茂雄氏や、大坂なおみ選手の聖火点灯シーンも感動モノだった。

それで十分と思う老ジャーナリストにすれば「開会式は金メダル」。いや、もっと凄いものができたはずと思う世界的映画監督にすれば「金返せ」になるのだろう。

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