京大教授が嘆く、ワクチンと死亡者数の関係を「数字」で理解できない人々

shutterstock_2013530984
 

31都道府県で新規感染者数が最悪レベルの「ステージ4」となり、今後も患者数の爆発的増加が危惧される新型コロナ。接種が進むワクチンの効果は現在、どのような形で現れているのでしょうか。今回のメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』では著者で京都大学大学院教授の藤井聡さんが、東京都の重症者数と死者数の推移を示すグラフを紹介しつつ、「劇的」とも言いうるワクチンの効果を解説。さらに「これから重症者が増えても、かつてほどは死者数は増えない」との予測を記しています。

(この記事はメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』2021年8月7日配信分の一部抜粋です。続きはご購読の上、お楽しみください)

藤井聡氏の活動をサポートできる有料メルマガ登録・詳細はコチラ

 

「ゼロコロナ病」の本質~「言葉だけ」で物事を考える人は、「数字だけ」で物事を考える人と同様

前回のメルマガでは、新規感染者数が増えれば、おおよそ17日後に重症者が増えるというおおよその関係があること、そして、その時点での重症者数は、(その17日前の)新規感染者数の約1割だという関係があるというお話しをいたしました。

そうすると、この下のグラフ(編註:下記リンク先)の7月下旬までの推移のように、実際の重症者数を、新規感染者数からおおよそ正確に「予測」できます、というお話しをさし上げました。

藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

で、これを使うと、これからの重症者数の推移を予測できます、と申し上げました。

ただし、以上のシミュレーションの前提は、「皆がワクチンを打っていない」という前提なので、実際の重症者数はこの予測値よりも「低い水準」になる可能性があります、と指摘していました。

…で、実際にどういう様に推移したのかをこの1週間確認してみたところ、次の様になりました。

東京都の重症者数の予測値と実現値(7日間移動平均)

ご覧の様に(残念ながら)、ワクチンが無い、という前提で行った重症者数のシミュレーション予測値と、現実の重症者数の予測値が一致しています。これからどうなるかもちろん分からない所ではありますが、この推移を見るに、ワクチンを打っても重症者を減らすという効果はさしてない可能性が示されています。

しかし、重症者数でなく死者数の推移を見てみると、「劇的」とも言いうるワクチン効果が見て取れることとなりました。

コチラのグラフは、重症者数と死者数の推移を重ねたものですが…。

東京都の重症者数と死者数の推移(7日間移動平均)

ご覧の様に、かつては、重症者が増えれば死者数が「少し遅れ」で増え、重症者が減れば死者数が「少し遅れ」で増える、という明確な関係があったのですが、ワクチン接種が進んだ6月以降、重症者が増えているのに、死者数は全く増えず、減り続けていることが分かったのです。

これはつまり、「重症者の中で死ぬ人の割合」が今、急激に減っている事を示しています。

もちろん、将来の事を100%予想することは神様以外不可能ですが、「重症者の中で死ぬ人の割合」が今、急激に減っている事を踏まえれば、かなりの蓋然性(確率)でもって、「これから重症者が増えても、かつてほどは死者数は増えないだろう」と予期されます(もちろん、重症者は増えていますから、死者が早晩、増える局面に入る事は間違いないとは思われますが)。

ところで…以上の議論は、難しかったでしょうか…?

藤井聡氏の活動をサポートできる有料メルマガ登録・詳細はコチラ

 

print
いま読まれてます

  • 京大教授が嘆く、ワクチンと死亡者数の関係を「数字」で理解できない人々
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け