遅すぎた日本の自衛隊機アフガン派遣。決心のできぬ政府が国を滅ぼす

shutterstock_2009775593
 

アフガニスタン情勢を受け日本政府は23日と24日、航空自衛隊の輸送機3機を現地に派遣しました。これに対し「10日以上遅い」とその決断と実行の遅さを指摘するのは、メルマガ『NEWSを疑え!』を主宰する軍事アナリストの小川和久さんです。その言葉どおり現地は既に混迷を極め、日本人とアフガニスタン人協力者を輸送機に迎え入れるのが困難になっていると伝えられます。小川さんは、法的にも部隊にも機材にも問題がないのに首相が「決心」できないのは、官僚の知識不足のせいと過去の例も紹介し解説。一事が万事緊急事態に対応できない現状では、国が滅んでしまうと最大級の警鐘を鳴らしています。

首相が「決心」できないと日本は滅びる

ようやくと言いましょうか、航空自衛隊の輸送機がアフガニスタンに向けて出発しました。

「政府は23日、イスラム主義勢力タリバンが全土を掌握したアフガニスタンから邦人らを退避させるため、航空自衛隊のC2輸送機1機をアフガン近隣国に派遣した。24日にもC130輸送機2機を出発させ、アフガンで働く国際機関の日本人職員のほか、日本大使館や国際協力機構(JICA)が雇用する現地職員らを近隣国に移送する。(中略)

 

C2は、拠点となる近隣国まで隊員らを運ぶ。空自小牧基地(愛知県)所属の2機のC130が、拠点とアフガンの首都カブールの国際空港とを行き来して邦人らを退避させる」(24日付 読売新聞)

何回も申し上げているように、危機管理の要諦は「必要なことを適切なタイミングで行う」ことにあります。それを前提にすると、アフガンの政権が崩壊した12日の直後のあたりでは現地入りしていなければならず、そこからすると10日以上も遅いことになります。派遣された自衛隊には何の問題もありません。いつでも出発できる態勢にあったからです。むろん、外国の旅客機をチャーターして現地に向かわせることも簡単にできたはずです。

ここで厳しく問われなければならないのは首相官邸の機能不全です。法律的にも派遣できる、部隊は待機している、機材も整っている、現地も一定の安全確保ができている。それなのに10日以上も遅れてしまったのは、首相官邸をはじめとする日本政府には「決心」ができないからです。

この「決心」とは、自衛隊や世界の軍隊の指揮官教育で叩き込まれるもので、敵の大軍が迫ってきているといった目の前の緊急事態に対して、いかに素早く、正面突破、迂回攻撃、退却などを的確に選択し、味方の損害を最小限に抑え込みながら戦うか、という点に主眼があります。世界のビジネスパーソンの教育でも重視されています。

どうして首相官邸は条件が整っているのに迅速に自衛隊機やチャーター機を派遣できなかったのでしょうか。意外かも知れませんが、首相官邸に航空機の運用についての基礎知識を備えた人材が配置されていないということに尽きるのです。だから、首相に適切なタイミングで「決心」してもらうことができなかったのです。

print
いま読まれてます

  • 遅すぎた日本の自衛隊機アフガン派遣。決心のできぬ政府が国を滅ぼす
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け