“河野太郎一座”を台無しにさせた、菅首相の丸出し権力欲と進次郎の自己中

arata20210930
 

世論調査では自民党の次期総裁にふさわしい人物として一番人気を誇っていたものの、岸田文雄氏との決選投票で惨敗を喫した河野太郎氏。何が河野氏の当選を阻んだのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、その要因として「菅首相と小泉進次郎氏の言動」と「古い自民党の狡猾な戦略」の2点を挙げ、それぞれについて詳細に解説しています。

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自民党の新総裁に岸田文雄氏が選ばれた。河野太郎氏は議員票、党員票ともに思ったほど伸びず、第1回投票で2位、決選投票での逆転もならなかった。

世間の期待度は高いのに、河野氏はなぜ負けたのだろうか。せめて党員票の勢いがもっとよければ、国会議員票も河野氏に雪崩を打っただろう。

色々な原因があるだろうが、菅首相と小泉進次郎氏の言動が深く絡んでいると筆者はみる。

菅首相が総裁選への不出馬を表明したことに関する9月9日の当メルマガで、立候補が取り沙汰されていた河野太郎氏と菅首相の関わり方について、筆者はこう書いた。

河野氏の場合は、自民党が変わるかもしれないという幻想を一時的には抱かせるだろう。だが、そのためには菅氏がきっぱりと権力闘争から手を引き、ゆめ河野氏の後見人のように見られないようにすることが肝心なのではないか。

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ところが、菅首相は潔く身を引くなどという美学とは無縁の人だった。総裁選が告示された9月17日、わざわざ、河野太郎氏を支持すると公言したのである。

そこから浮かび上がったのは、キングメーカーに転身して、権力を維持しようとする姿だった。

それまで、“河野太郎一座”の舞台はすこぶる順調に見えた。河野氏の出馬が、自民党の将来にとってどれほど意味があることなのかを、小泉氏は切々と訴え続けた。9月14日、横須賀市内で記者会見した小泉氏の発言。

「河野さん、いろいろ攻撃されていますけど、なぜこれだけ攻撃されるかと言うと、最大の既得権益と戦っているからなんですよ」

「日本も世界もコロナで変わっているなかで、今までのやり方、発想、発信のあり方に囚われない新しいタイプのリーダーが必要です。河野さんのような強烈な個性が躍動できる懐の深い自民党に変わらなくてはいけない。古き良き自民党に戻ることを国民は求めていない」

現在の自民党は既得権益にまみれた古い自民党であり、それと決別できる政治家は河野氏しかいないと、位置づけたのである。なんと分かりやすいキャッチコピーだろうか。父、純一郎氏の「自民党をぶっ潰す」を彷彿とさせた。

この単純明快さゆえに、菅首相の河野支援は強い反発を呼んだ。小泉、河野両氏の背後で菅首相が糸を引いている。なにが既得権益と戦うだ、なにが古い自民党との決別だ。「改革」をうたいながら、その実、安倍前首相や麻生副総理とともに古い自民党を守ってきたのが菅首相ではなかったか、と。

情に訴えて共感を誘う小泉氏の巧みな弁舌。そのすべてが自己中心的なものに思えてきた。

9月3日、総裁選不出馬を決めた菅首相に面会した後、小泉氏は涙をにじませて記者たちにこう語った。

「悔しいのは首相が人間味のない人だと思われている節があることだ。まったく逆で、温かい、懐の深い人で、息子みたいな年の私に、常に時間をつくってくれて、感謝しかない」

私に時間をつくってくれる温かく懐の深い人。間違いなく、小泉氏にはそうなのだろう。ただし、誰にでも温かくはない。表情豊かな“進次郎節”にはいつもホロリとさせられるが、油断は禁物だ。

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