自分の子ども時代を振り返って、子どもをほめよう
6.我が身振り返り法
親はいつも子どもを評価する側に立っているが、ときには親自身が自分を振り返って、子どもを見てほしい。
自分はルーズだが子どもは几帳面だとか、自分はあきらめやすいが子どもは粘りがある。あるいは、自分は怒りっぽいが子どもはいつも穏やかにニコニコしている。――よく考えると、親よりもいい点が、子どもになにかあるはずだ。
親はそれに気づいていても、ほめる材料になっていない。もし、子どもが頑張り屋なら、こう言ってほめやろう。
「お父さんは三日坊主だけど、お前は偉いな」
こう言うと、子どもは大喜びするはずだ。あるいは、親の子ども時代と比べてほめてやる。
「お父さんは子どもの頃、~だったけど、お前はすごいな」
小学生にとって、親は子どもの尊敬の対象だ。だから、その本人からそう言ってもらえると、自信になる。ときには多少のウソが混じってもいいだろう。
「お父さんなんか算数で100点を取ったことがないのに、すごいな」
というようなウソは許されるウソだ。
「お父さんが子どもの頃、賞状なんてもらったことがないのに驚いたよ」
昔と違って今は賞状を乱発するので、子どもが賞状をもらう機会は多い。そこで「昔の賞状より価値が低いな」などとは言わずに、ほめてやればいい。
会社でも同じだろう。部下はほめて伸ばすことだ。
「俺の新入社員時代より、お前たちは進んでいるな」
と言えば、新人も喜ぶだろうが、普通は
「俺たちの新入社員時代に比べて、お前らは~」
と非難になる。一度、我が身をふり返って、部下の美点を見つけてはどうだろうか。
次回も引き続き、ほめ方のコツをいくつか検討していくので、ぜひ実践してみてほしい。
初出「親力養成講座」日経BP 2009年5月29日
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