岸田政権コロナ対策に「弱点」あり。今すぐ再確認すべき4つのポイント

 

一方で、感染症の専門家については「分科会」という「傍へ追いやる」ネーミングに変わっており、これも「経済重視=五輪強行」シフトというニュアンスであったように思います。

更に、これは菅さんのヒットだと思うのですが、ワクチン接種をスピードアップするために、担当大臣として河野太郎氏を置きました。河野氏は見事に「突破力」を示したのは事実であり、この秋には急速な効果が確認できるようにもなったと思います。

ですが、厚労省、経済再生相、ワクチン担当相という3人の大臣がいて、そのほかにも官房長官がありというのでは、一体誰が司令塔なのか分からないという状況であることは間違いありません(ちなみに、菅政権の官房長官は、勝信さんで依然として組織防衛話しかさなかったので、その点は混乱はなったわけですが)。

岸田総理は就任にあたって「健康危機管理庁」を設置して、コロナ司令塔を一本化するとタンカを切っていたはずです。

健康危機管理庁に関しては、時間がかかるのは分かります。ですが、厚労相(後藤茂之)、経済(再生)相(山際大志郎)、ワクチン担当(堀内詔子)という3人体制は変わっていません。しかも官房長官(松野博一)もいるわけです。

しかも現時点では、4名とも知名度はイマイチであり、そのために新しいことをやる際の説得力とか、説得の方法としてのキャラというのも認知されていないわけです。

一方で、ご本人たちは現在の不安に満ちた世相の中では、国民の瞬間的な世論に気を使うはずが、現時点では「世論より組織防衛」という姿勢が透けて見えます。それはともかく、とにかくこの4名の体制ではなく、スッキリ司令塔を一本化しておかないと、この後で第6波が来た場合にも、反対にオミクロンが完全に弱毒かつ他の株を置き換えてくれて社会をオープンできるようになった場合にも、明確な方針を示して世論とのコミュニケーションはできないと思うのです。

2点目は、医療体制です。菅政権の失敗を踏まえて、岸田政権は「第6波に備えて、病床確保をしっかり」行うという公約を掲げています。この公約を掲げて、衆院選を戦ったのですから、極めて重たい公約です。ですが、問題は「病床は確保する」と言っていながら「医療従事者も確保する」という点は曖昧なわけです。

勿論、医療従事者の現場は「第5波」との戦いで疲弊しており、現在は通常モードに戻しつつ、力を蓄えている時期だと思います。ですが、それはあくまで現場レベルの話であり、国家レベルとしては、万が一にも「第6波」に備えるのであれば、病床だけでなく、医療従事者の確保についても具体案を持っているべきです。そのために医師会などとどんな調整をしているのか、サッパリ見えてこないというのは気になります。

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