「オミクロン株の危険性」ばかり強調するマスコミを疑え。上昌広医師が緊急提言

2022.01.14
by 上昌広
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驚異的な感染力で、全世界に爆発的な広がりを見せるオミクロン株。マスコミはこれまで同様に危険性を強調していますが、はたしてそれはどこまで信用できるものなのでしょうか。医療ガバナンス研究所理事長で医師の上 昌広先生は今回、データに基づいた冷静な判断が必要として、オミクロン株の毒性が低い証拠を提示。その上で、同株への感染を過度に恐れるべきでない理由を記すとともに、従来通りの日常生活を送ることの重要性を訴えています。

プロフィール:上 昌広(かみ まさひろ)
医療ガバナンス研究所理事長。1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

緊急寄稿。上昌広医師が警告、国民を殺す「誤ったオミクロン株対策」

オミクロン株にどう対応すべきか。1月6日、政府は沖縄、広島、山口県に対し特措法に基づくまん延防止等重点措置を適用、11日には水際対策を2月末まで延長することを決めた。

マスコミは「病床逼迫リスク再び 東京、空床の即時把握できぬまま(日本経済新聞1月5日)」、「沖縄、一般診療に制限 一部病院担い手不足(読売新聞1月8日)」など、オミクロン株の危険性を強調する。

私は、このような論調に賛同できない。オミクロン株は全く未知のウイルスではない。南アフリカや英米から多数の臨床研究が報告されている。データに基づき、冷静に判断すべきだ。

日本の感染者数

日本の感染者数は多いのか。図1をご覧いただきたい。経済協力開発機構(OECD)加盟国38カ国の1月9日の人口100万人あたりの感染者数を示す。日本の感染者は35.2人で、厳格な水際対策が成功しているニュージーランド(11.9人)に次いで少ない。仏(3,946人)、伊(2,624人)、英(2,607人)、米(2,130人)など欧米先進国とは比較にならない。

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ところが、このような欧米での対応は日本より遙かに緩い。12月27日、米バイデン大統領は「備えはできている。学校と経済は動かし続ける」、1月4日、英ジョンソン大統領は「学校と企業活動を継続させ、コロナと共に生きていく方法を見いだす」と発言している。日本の感染者数で「第6波がきた」と騒ぐのは滑稽だ。

オミクロン株は毒性が低い

なぜ、海外は冷静でいられるのか。それはオミクロン株の毒性が低いことが分かっているからだ。既に複数のグループから、オミクロン株の毒性についての研究が報告されている。例えば、12月23日、英保健安全保障庁の研究チームは、英国でのオミクロン株感染者5万6,066人の転帰を分析し、デルタ株と比較し、重症化リスク(入院リスク)は62%低いと報告している。状況は米国も同じだ。昨年12月1日と比べ、1月10日の感染者は8.7倍増加したが、死者数は1.7倍しか増えていない。

日本でも、オミクロン株感染は重症化しにくい。1月4日現在、沖縄県では675人の感染が確認されていたが、このうち623人(92%)は無症状あるいは軽症だ。

コロナ対策で重視すべきは、感染者数ではなく、重症者や死者を減らすことだ。オミクロン株の感染を過度に恐れるべきではない。

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