ホンマでっか池田教授による「絶滅とはそもそも何か?」という考察

 

種の絶滅は現生種に関してはわかりやすい。少し前にこのメルマガで書いたように小笠原諸島の固有種オガサワラシジミは野生の個体も飼育個体もすべて死に絶えて絶滅したが、この種から新しい種は進化しなかったので、最後の1個体の死をもって、種そのものも絶滅したということだ。

一方、化石種の絶滅は現生種と違って多少ややこしい。例えば、古生代に栄えた三葉虫は、カンブリア紀から始まってペルム紀に絶滅するまで、約2億8千万年もの間生存していたが、種はどんどん変遷しており、同じ形の三葉虫は400万年ほどするといなくなってしまう。ある種は末端種として絶滅したに違いないが、別の種は、次の種に進化して形態が変わったのかも知れない。Aという三葉虫がBという三葉虫に進化したとして、Aは絶滅したと言えるのだろうか。これはなかなか微妙な問題である。

この問題を議論するには、種の絶滅とは別に、系統の絶滅という概念を持ち出す必要がある。A種が分岐をせずに、B種に進化をすれば、A種が絶滅したとは言い難い。系統としては連続的に存続していると考えるほかはない。一方、B種がA種から分岐して生じ、暫く経って母種であるA種が絶滅した場合は、末端種としてのA種は絶滅したが、A種という系統は絶滅してはいないということになる。化石の観察だけからはどちらが起こったかを決めるのはなかなか難しいが、系統が近い先行種と後行種が重ならないで出土すれば前者、多少重なって出土すれば後者、といった判断は可能であろう。(『池田清彦のやせ我慢日記』2022年2月11日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください)

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