流行りのノンアルコール飲料も、最近ではカロリーゼロを謳うものが増えてきました。健康に気を遣う人たちに好まれているようですが、一方でゼロカロリーでも人工甘味料の摂取し過ぎは身体に良くないとの声も聞こえてきます。どう判断すればいいのでしょうか。メルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』著者で、糖質制限の提唱者としても知られる医師の江部康二先生は、自身が愛飲する「サントリーオールフリー」に使われている人工甘味料を例に、「無毒性量」を計算。1日の許容摂取量の求め方を伝えています。
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ゼロカロリー飲料は体に良くない?
Question
ゼロカロリーのコーラ等をよく飲みます。これらの飲みすぎは良くないと言われましたが、その理由は何故でしょうか?
江部先生からの回答
ゼロカロリー飲料が良くないというのは、おそらく使用されている人工甘味料が体に悪影響を与える、という意味だと思います。人工甘味料の許容量に関して考察してみます。
人工甘味料に関するネガティブな意見が多いので、気になるところですね。結論から言えば、私はそれほど気にしていません。
まず、果糖ブドウ糖液化糖は、血糖値を上昇させますが、アスパルテームなどの人工甘味料は血糖値を上昇させません。この点などに関して、果糖ブドウ糖液化糖は、人工甘味料より現実の飲料においてはるかに危険がいっぱいです。基本的に厚生労働省やFAO/WHOの指針を守っていれば、人工甘味料は、適量以内なら大丈夫と思います。
私自身も、サントリーオールフリーをよく飲んでいます。
[オールフリーの栄養成分]
麦芽、ホップ、香料、酸味料、カラメル色素、酸化防止剤(ビタミンC)、苦味料、甘味料(アセスルファムK)
人工甘味料のアセスルファムKが含まれていますが、オールフリー350ml缶を3本/日くらいならなんの問題もないと思います。
さて、まず人工の添加物に対する無毒性量という基準があります。無毒性量というのは「これ以上食べると毒になる」という量の2分の1の量のことです。無毒性量を、さらに安全係数100で割ったものが1日許容摂取量(ADI)です。例えばスクラロースの無毒性量が1500mg/kg体重/日です。そうすると1日許容摂取量(ADI)は15mg/kg体重/日
日本人のショ糖の平均摂取量(35.0g)を、全てスクラロース(ショ糖の600倍の甘さ)に置き換えたとして、計算すると、1日推定摂取量は、58.3mgとなります。日本人の平均体重50kgで除すると、1日あたり1.17mg/kg体重を摂取することとなります。これは、ADI:15mgの、12分の1ですね。
ケーキや飲料水における使用基準については、例えば清涼飲料水は1kgにつき0.40g以下が使用基準です。体重が50kgの人の1日許容摂取量(ADI)は750mgです。ダイエット飲料に1kgにつき0.4gの上限のスクラロースが含まれているとしたら、1875ccを飲むと、調度750mgですね。
他の人工甘味料は調べていませんが、350ml缶で3本(1050ml)くらいまでなら、まず1日許容摂取量(ADI)を超えることはないと思います。
なお、ラカントSの主成分である糖アルコールのエリスリトールは、JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門委員会)により『安全性が十分に高いので、1日摂取許容量は定める必要がない(ADI not specified)』との評価を受けており、その安全性は世界的にも認証されています。(1999年6月)
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