京大教授が危惧。日銀の新審議委員・高田創氏が日本経済に悪夢をもたらす

 

その彼のヤバさを、彼の主張を簡潔にまとめた次の主張から読み解いて参りましょう。

これまで日本国債は暴落を危惧され続けながらも暴落せず、市場が安定してきたのは、次の3要素にあると筆者は考えてきた。

 

第1は、経常黒字により国内で国債消化が行われうること。第2は、国内投資家のホームカントリーバイアス(自国通貨偏重)で資本逃避が生じにくい点。第3は、筆者は表現するところの「市場への愛」であり、「市場との対話」を通じて確保される国内投資家の安定的保有状況にあった。

天災は忘れた頃にやってくる、国債暴落も忘れた頃にやってくる

これを分かり易く言うと、次の様に言うことができます。

国債が暴落しないためには、

 

  1. 経常収支が黒字であること。
  2. 資本が日本から逃げていく事(資本逃避)、を避ける事。
  3. 政府・日銀が「市場への愛」を持つ事。

の三点が必要だ。

これは、逆に言うと、次の様になります。

  1. 経常収支が赤になったり、
  2. 資本逃避が起こったり、
  3. 政府・日銀が「市場への愛」を失ったりすると、国債は暴落する

当方は、この見解は完全に間違った見解だと確信しています。なぜ間違っているのか……についてはおいおい解説するとして、ここで高田氏が何を言っているかを詳しく解説して参りましょう。

まず、1.2.の「経常収支赤」や「資本逃避」は、現下の状況の下では生ずるとは考えがたいものです。そして、この点については、高田氏も当方と同様の見解を持っているようです。

なぜなら、「日本国内に一定の需要があるものの、供給過多であるため、デフレ経済が続く」というのが現状の日本だからです。その結果、「外需を求めて多くの企業が海外投資を進め、そこで得られた利益を日本国内に環流させる」というビジネスモデルが一般化しており、したがって、経常収支の黒字が当面続く状況にあるのです。そして、この点については、高田氏も同意しています。

しかも、「日本国内に定住する事を望む国民が一定以上いる」こと、そしてそれ故に上記の様に「日本国内に一定の需要がある」ことのため、激しい資本逃避が生ずるとは当面考えられないからです。これについても、高田氏は同意しています。

つまり、高田氏は、上記の1.2.は余程の事が無い限り当面は起こらないだろう、と指摘しています(ただし、「余程の事が無い限り」と言っている時点で、高田氏は根本的に間違っているのですが……それについては後に解説します)。

いずれにせよ、高田氏が今、一番懸念しているのは、上記の3.なのです。つまり高田氏は、「政府・日銀が『市場への愛』を失う」という事態は、十分に起こり得るものだ、と指摘しているのです。

では、「市場への愛」というものが一体何なのでしょう?

このおぞましくも薄気味悪いこの「市場への愛」なる言葉は、以下の発言から、その内実が示されています。

消費増税は最低限の「愛」を示したもので、格付け機関も財政規律への姿勢に注目してきた。

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