民間以上に理不尽な格差。「非正規公務員」たちの“嘆きの声”を聞け

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政府は増え続ける国家公務員の残業時間を問題視。採用人数を増やすことを決め、目に見える形の「働き方改革」を進めています。一方でコロナ禍による長時間労働でますます厳しい環境に置かれている非正規公務員の問題に改善の道筋は見えません。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』で健康社会学者の河合薫さんは、“官製ワーキングプア”と呼ばれる非正規公務員からあがる「嘆きの声」を紹介。広がる格差を放置し続ける国と、“非正規”の問題を熱を持って伝えない大手メディアを批判しています。

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“官製ワーキングプア”と上級国民

霞ヶ関の「働き方改革」が、目に見える形で進められています。二之湯智国家公務員制度担当相が、昨年末の記者会見で「自衛官などを除く国家公務員の定員を22年度に401人増やす」との方針を示したことが話題となりましたが、2022年度の残業代予算が、初めて400億円を超えたことがわかりました。

前年度と比べて約18%と異例の大幅増。もっとも増えたのは厚労省で、約39%増。次いで、国土交通省33%、内閣府、内閣官房も約3割増加しました。新型コロナへの対応で残業が増えたことに加え、若者の官僚離れへの危機感が背景にあるとされています。

いわずもがな、霞が関の若手国家公務員たちは、「無定量、無制限」で酷使され、サービス残業は「国家官僚としての使命感」と美化され、命を削りながら働いてきました。1日の残業時間は7時間、月200時間超、退庁は1時2時、徹夜もざら。土日も出勤、11月、12月はひと月の残業は300時間超などなど、数えきれないほどの「異常さを示す数字」がこれまでも報告されてきました。

そこに、やっと、本当にやっと光が差し込んだのは素直にうれしいし、よかったと心から思います。しかしながら、非正規公務員や地方自治体の公務員は蚊帳の外。一体、なぜ?

国家公務員の非正規職員の割合は年々増加し、2019年には22.1%で、厚労省では52.7%と半数以上が非正規公務員です。地方自治体では、働く公務員の3人に1人が非正規公務員と、圧倒的に多く、私たちが役場で接する職員のほとんどが、非正規で雇われている人たちです。

国家公務員は、1972年度の90万人超をピークに減少に転じ、90年代のバブル崩壊後は「行政のスリム化」を求める声が強まったことで大幅な削減が行われました。旧民主党政権末期の2012年度には30万人を割っていたのです。

本来、人口が増えれば公務員を増やさなきゃなのに、日本は明治時代に公務員を増やしまくったことで財政が圧迫し、人減らしをすることでやりくりしてきました。

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