デジタル人民元が、対プーチン露の金融制裁“抜け穴”説は本当なのか?

 

中国は経済成長におけるデジタル経済の比率を高める政策を続け一定の成果を残してきた。デジタル人民元のテスト事業のカバー範囲は北京冬季オリンピック開催時に40万ヶ所。取引金額は96億元(約1,751億円)となり2017年から導入したテストエリアを長江デルタ、珠江デルタ、北京・天津・河北、中部、西部、東北、北西をほぼカバーするまでに成長させた。まさに「着々と」という表現が適当な進化だ。

今後、デジタル人民元の利便性──オフラインでも使用できることなど──を考慮すればアリペイやウィチャットペイを糾合しつつ国境を越えて広がってゆくことは十分に考えられるだろう。

もしアメリカがデジタル人民元の流れを制裁によって止められると考えるのであれば結果は不都合なものとなるかもしれない。

アメリカが発動する経済制裁が度を越していれば、世界はそれを警戒し、回避する別の手段を持ちたいと考えるからだ。

ロシアに対して抜いた強大なアメリカの武器は、ひょっとすると両刃の剣かもしれないのだ。

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image by: humphery / Shutterstock.com

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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