母数はわずか「0.0016%」。新聞社の調査が“世論”となる違和感

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日本国憲法施行から75年となった今年の憲法記念日に、全国紙各紙が「憲法改正」に関する世論調査の結果を公表。読売、朝日、毎日それぞれの調査結果について、昨年や一昨年より賛成派が増えていることなど、気になった点について『きっこのメルマガ』著者で人気ブロガーのきっこさんが考察。新聞によるバラツキが気になるとも指摘し、読売新聞のケースを例に、調査回答者が人口のわずか0.0016%、2080人しかいないのは、統計学的には有効でも、これを「世論」として利用されることへの違和感を伝えています。

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世論調査の信憑性

昭和22年(1947年)の施行から75年を迎えた5月3日の「憲法記念日」、全国紙各紙は「憲法改正」に関する全国世論調査の結果を発表しました。もともと自民党の広報紙として憲法改正を推進する立ち場を取って来た読売新聞の世論調査では、「改正する方がよい」が60%となり、昨年4月の前回調査の56%より4ポイント上昇し、過去最多となりました。「改正しない方がよい」は38%、前回調査の40%より2ポイント減少しました。

また「改正する方がよい」と回答した人の中での改正点(複数回答)は、「自衛のための軍隊保持」が45%で最多、大災害などの「緊急事態への対応」が38%、「教育の無償化」が36%と続きました。しかし、戦争放棄を定めた9条1項については「改正の必要はない」が前回調査と同じく80%に上り、たとえ改憲派であっても「9条1項には触れるべきでない」という考えの人が大多数であることが分かりました。

一方、読売新聞とは逆の立ち場を取る朝日新聞の世論調査では、憲法を「変える必要がある」が56%となり、昨年の前回調査の45%より11ポイント上昇して過半数となり、こちらも過去最多となりました。「変える必要はない」は37%で、前回調査の44%から7ポイント減少しました。前回調査では賛成派と反対派が「45%対44%」と拮抗していましたが、今回は「56%対37%」となり、大きく風向きが変わりました。

まあ、これは現在のウクライナの状況を見れば分からなくもない結果ですが、あたしが驚いたのは9条に関する回答でした。朝日新聞の世論調査では、9条は「変えないほうがよい」がわずか59%、読売新聞の調査より20ポイント以上も低かったのです。そして「変えるほうがよい」が33%、3人に1人が「戦争放棄」を放棄すべきと回答しているのです。これは正直、にわかには信じられない数字でした。

そして、もう1つ驚いたのが、女性の改憲派の急増です。朝日新聞の昨年の前回調査の性別を見ると、憲法を「変える必要がある」と回答した男性は52%、女性は40%と、男女で大きく差がありました。しかし、今回の調査では、男性が58%と微増だったのに対して、女性は53%と急増し、過半数となったのです。一体、これはどういうことなのでしょうか?

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