自己破産者の氏名や住所などの個人情報をGoogleマップ上にプロットした「新・破産者マップ」がネット上に出現した。これまでにも名前を変えて、破産者の個人情報を晒すサイトは存在したが、金銭を要求するサイトは初めてとみられる。
「破産者マップ」削除依頼に金銭要求の卑劣行為
ITmediaが6月20日に報じた「新・破産者マップ」は、Googleマップのピンの上に個人情報が掲載される仕組み。運営元は個人情報を非表示にするには6万円、ピンごと削除するには12万円分のビットコインを要求している。
自己破産者の個人情報を晒すサイトはこれまでにも「破産者マップ」「モンスターマップ」と名前を変えて、何度も出現しているが、削除に金銭を要求するサイトはこれが初だ。
過去のマップと情報の年代が同じで、その後のデータの更新もないため、データをそのまま流用している可能性が高いようにみえる。
過去のマップの場合は自己破産者に対して、強烈な憎悪が感じられたのに対して、今回のマップはあからさまに金銭目的だろう。
「このウェブサイトの運営は海外で行われており、現地の法律が適用されます」とし、「基本的な問い合わせは受け付けておりません。支払い時に問題があった場合のみ対処いたします」と明示している。
個人情報保護法専門の弁護士がGoogleに通報したこともあってか、現在このサイトは検索しても出てこなくなった。
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簡単に模倣可能で追随者が倍増する危険
破産宣告者の個人情報は「官報」で公開される。インターネットでも閲覧可能で一月分が保存されるため、それをこまめに記録しておけば、破産者のリストは簡単に作れる。しかし、これをマップにしてまとめるというのは、明らかに悪意に満ちているだろう。
「新・破産者マップ」は運営を海外で行っているということから、もし個人情報を削除するために入金されたとしてもビットコインのため足がつきにくい。犯人を特定することは難しく、犯罪を実証しづらい。
もし個人情報を晒された場合は運営元の要求に応じずに、速やかに最寄りの警察のサイバー犯罪対策課に届け出ることが必要だ。
弱みにつけこむ卑劣な行為。個人情報を晒されることで、破産者たちの名前と住所が広く世間に出てしまう。
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破産者の個人情報の開示を続ける限り、このようなサイトは後を絶たない。官庁の個人情報の公開についても、ネット時代に配慮した対応が必要かもしれない。