このままでは日本民族が滅びる。国語教育を蔑ろにする国が向かう絶望の道

Japanese language study. Using books, notes and audio to learn japanese. Writing practice
 

──その頃から、今日に至るまで国語教育は蔑ろにされてきたのですか

藤原 「小学校の国語の時間なんてどんどん減らされていますよ。大正時代、4年生で週14~15時間が充あてられていたのがいま4~5時間でしょう?そこに習字が組み込まれる場合がありますし、運動会、学芸会となると練習のために国語の授業が最初に削られる。国語は毎日話しているから削ってもいいという理屈です。

私も文科省や文化庁の国語教育に関する審議会の委員などを務めてきましたが、正常化の難しさを痛感してきました。

委員の半数以上が官僚にお墨付きを与えるための御用学者です。2~3割は文化人や芸能人やスポーツ選手で、残りの1~2割がいわゆる『ガス抜き』のための変人。私はいつもその変人の枠で選ばれていて(笑)、自分の主張を激しくぶつけてきました。

すると、国語教育絶対論者の藤原正彦が入って一応公平な審査が行われたという建前になるわけですね。

ウンザリしたのは、委員に選ばれる小中高の国語の先生も大学の国語の教授も考えが本質から乖離しているということでした。例えば、小学校の国語は「読む」「書く」「話す」「聞く」の技能がすべて平等でなくてはいけないという主張なのです。

これが人権思想の影響なのかどうかは分かりませんが、私ははっきり言いました。『小学校の国語において、比重は読みが20、書くが5、話すと聞くはそれぞれ1です。初等教育の目的は、子供たちが自ら本に手を伸ばすように育てること、それだけです』と。

さらに「学科で言えば、一に国語、二に国語、三、四がなくて五に算数、あとは十以下」と語気を強めて訴えました」

──初等教育では、そのくらい国語教育が重要ということですね

藤原 「しかし、先生たちは国語も理科も算数も社会も図画工作も音楽も体育も家庭科も皆平等に重要という捉え方なのです。確かにこれは民主主義的で理想のように思えるかもしれませんが、私は命懸けで教育の問題を考えているのだろうかと疑問を感じずにはいられませんね。

子供たちが弱い者いじめなど卑怯なことをやったら、いくら人権や平等などと言ったところで全く埒が明かない。『ならぬことはならぬ』とビシッと叩き込むしかないのです。これは理屈ではありません。幼児期から多くの優れた詩や小説に触れることによって、そういう人として持つべき卑怯を憎む心や惻隠の情などの情緒が培われるのです」

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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