五輪汚職「竹中平蔵は逮捕できぬ」の理不尽。なぜ特捜部動けず?豚箱回避の根拠を元国税が解説

 

ネットに流れる竹中氏逮捕の噂

なぜ竹中氏が逮捕されるのかというと、ネット上に流布している説では、次のような要因が語られています。

  • 竹中平蔵氏は安倍氏死去の直後にパソナグループの会長を辞任している
  • パソナグループはオリンピックのスポンサーである
  • パソナグループは新型コロナでの持続化給付金において電通と組んで事業を受注し事業費を「中抜き」していた

これらの「状況証拠」は、確かに信憑性があるように見えます。竹中平蔵氏は、ご存じのように人材派遣企業最大手のパソナの会長でした。そしてパソナは、AOKIやKADOKAWAと同様に、東京オリンピックの「オフィシャルサポーター」でした。東京オリンピックの大会スポンサーには4種類あり、スポンサー料が高い順に、「ワールドワイド」「ゴールド」「オフィシャル・パートナー」となっており、一番安い枠としてさらに「オフィシャル・サポーター」という枠が設けられていました。現在、贈賄が発覚しているAOKIやKADOKAWAはいずれも、一番安い「オフィシャル・パートナー」枠であり、パソナも同じなのです。

そして逮捕されたAOKIの前会長は、逮捕される直前にAOKIの会長職を退いています。検察は、「現役職の逮捕にこだわる」という都市伝説があり、そのためにAOKIの前会長の青木拡憲氏は、逮捕を免れるために辞任したのではないか、と憶測されているのです。

竹中平蔵氏も、つい最近、パソナの会長職を退いているので、「逮捕を免れるために辞めたのではないか?」「でもAOKIの会長も逮捕されているので竹中氏も逮捕されるのではないか」ということです。

また今回、家宅捜索を受けた電通とパソナは蜜月関係にあります。このメルマガでも何度か触れましたが、2020年に始まった持続化給付金の事業では、電通とパソナはグルになって「濡れ手に粟」の大儲けをしました。

持続化給付金というのは、新型コロナにより経営が悪化した中小企業に、悪化状況に応じて現金を給付するという事業です。中小法人で最高200万円、個人事業者で最高100万円が支給されました。経営悪化している事業者は多いので給付の総額は膨大になり、当初のと事務委託費だけで769億円もの予算が組まれました。

この持続化給付金の事業が、「サービスデザイン推進協議会」という団体に769億円という巨額な費用で事務委託され、その委託費は20億円抜かれた後さらに電通、パソナなどに再委託されていたのです。そもそもこの「サービスデザイン推進協議会」は、電通、パソナ、トランスコスモスなどによってつくられた団体です。その「サービスデザイン推進協議会」が中抜きした上、業務も電通やパソナが受注しているわけですから、丸儲けということなのです。

しかも「サービスデザイン推進協議会」が受注した国の事業は今回が初めてではありません。2016年の発足から2020年までのわずか5年間で、経済産業省の事業を1,546億円も受注していたのです。つまり電通とパソナは、以前から組んで暴利をむさぼっていたわけなのです。その電通が今回、家宅捜索を受けたので、いよいよパソナにも捜査の手が向かうのではないか、竹中平蔵氏はそれを察知して、パソナの会長を辞任したのではないか、ということです。

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