プーチンの背中を押す金正恩。習近平すら核使用ドミノ倒し恐れる緊急事態

 

ペドル二コフ氏はシリア国軍と手を組み、反政府組織に対して手段を選ばない作戦でアサド大統領の劣勢を覆す手助けをしたことで有名で、その後もシリア国軍を再訓練・編成する手伝いをしていたと言われています。また予てより、「ロシアに刃を向けるものには徹底的な対応を行い、敵には核兵器の使用さえ厭うべきではない」という主義だと聞いています。

そのような人物が今回、対ウクライナ最前線の指揮を執るというのはどのような意味を持つのか。とても関心があります。

彼を個人的に知る友人たちによると、「今回のプーチン大統領の“英断”でついに準備が整った」という発言をしたそうですから、ちょっと背筋が凍ってしまいそうですが、その発言が真に意味する内容については、あえて追求しないでおこうと思います。

ロシアによる核使用の可能性が高まったと考えられ、かつNATO諸国もあまりプーチン大統領を刺激しないでおこうと注意しているようですが、プーチン大統領が核使用に踏み切るレッドラインがどこにあるのかが把握できない中、具体的にどこまで踏み込んでいいのか測りかねているようです。

皮肉にも核兵器の使用をちらつかせる“核抑止”が機能しているといえるのかもしれません…。

現時点では、ウクライナはロシアによる4州の一方的な併合を無視し、非難を強め、かつ反転攻勢を加速することで、対ロ徹底抗戦の姿勢を強めていますが、それを支えるのは、上記のように非常に対応に苦慮しているNATO各国からの軍事支援ですので、このシーソーゲームの行方は非常に不明瞭です。

とはいえ、ロシアが常に核兵器を即時使用できる態勢にあることは事実のようですので、まだまだ気が抜けませんし、それに対抗するためのNATOサイドの核反撃体制も整ってきているとの情報もあるため、世界は非常に緊張を高め、偶発的な衝突や、ロシアによる“象徴的な”核使用といった事態になった場合には、パンドラの箱のふたが開いてしまうかもしれません。

その非常に微妙なバランスに影響を与えそうなのが、一見、関係なさそうな北朝鮮情勢と台湾情勢です。

北朝鮮情勢については、今週日本もJアラートが久々に発せられたことでも記憶に新しい相次ぐ弾道ミサイル発射です。今年に入ってから24回目、そして5月以降は10回目とのことですが、最近のケースでは北朝鮮内からグアムを十分攻撃できる4,600キロメートルの飛距離を記録し、北朝鮮が着実にミサイル技術を高めてきていることが明らかになりました。

今回のミサイルは以前発射された地対地中距離弾道ミサイル(IRBM)の火星12型の改良版とみられるとのことですが、中国人民解放軍が配備するグアムキラーと並びアメリカに対する直接攻撃力を誇示したことになります。

そして日本列島を横切り、太平洋の遥か沖合に落下・着弾した地点の近くを、9月末に日米韓の合同軍事演習に参加していた米空母ロナルド・レーガンの打撃群が通過していたというのは非常に象徴的な出来事でしょう。

大きな点はロナルド・レーガン空母打撃群を攻撃するのではなく、示威的に近海を狙うことが出来るという技術力とミサイル運搬能力を示したことで、これを非常に重く受け止めたアメリカは、打撃群を再度日本海に引き返させ、アラートのレベルを一気に上げたようで、北東アジア海域も一気に緊張が高まったと言えます。

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