つまり自民党の憲法改正草案は、緊急事態条項の創設で「国民主権」を、9条改正で「平和主義」を、そして家庭教育支援法の制定などで「基本的人権の尊重」を、それぞれ破壊しようとしている。現行憲法の根幹に手を突っ込み、戦前の大日本帝国憲法下での政治体制への回帰を図るもくろみがあるとしか見えない。
そして旧統一教会は、自民党が目指す国家改革の方向性と強い親和性を持っていた。「旧統一教会の働きかけによって、自民党の政策がゆがめられた」という声が聞かれるが、おそらくもともとの考え方が近い、とみる方が正しいのではないか。
その両者が二人三脚で「現行憲法によって規定された戦後社会の破壊」を目指していることが明確になったのが、今回の推薦確認書問題だ。旧統一教会は、推薦確認書によって自民党議員の選挙に深く関わることで、自らが目指す「政府に権力が集中し、批判勢力が無力化した社会」「国民にばかり責任を負わせる社会」の実現を急かした、というわけだ。
推薦確認書の問題は、単に「自民党と旧統一教会の関係の深さ」だけで語るべきことではない。自民党と旧統一教会が、選挙で連携することで一体どんな社会を作ろうとしてきたのか、それが国民の利益に合致しているのか、という観点も、忘れてはならないと思う。
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