統一教会と自民議員が交わした悪魔の契約。「推薦確認書」が炙り出す戦後日本の大問題

2022.10.27
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旧統一教会が署名を求め、大串正樹デジタル副大臣をはじめ複数の自民党所属議員が応じたことが明らかになった「推薦確認書」なる文書。次々と明らかになる政権与党と教団との不適切な関係に批判が収まらない状況となっていますが、事実上の政策協定となる推薦確認書については、これまでより踏み込んだ検証が必要なようです。毎日新聞で政治部副部長などを務めた経験を持つジャーナリストの尾中 香尚里さんは今回、「改めて着目すべきは推薦確認書に記された内容」として、書かれていたとされる政策を精査。そこから明確になった「推薦確認書問題の本質」を解説しています。

プロフィール:尾中 香尚里(おなか・かおり)
ジャーナリスト。1965年、福岡県生まれ。1988年毎日新聞に入社し、政治部で主に野党や国会を中心に取材。政治部副部長、川崎支局長、オピニオングループ編集委員などを経て、2019年9月に退社。新著「安倍晋三と菅直人 非常事態のリーダーシップ」(集英社新書)、共著に「枝野幸男の真価」(毎日新聞出版)。

旧統一教会が自民党議員たちに署名を求めた「推薦確認書」の大問題

自民党と「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」との関係をめぐる報道が止まらない。20日には朝日新聞が、旧統一教会の友好団体が今夏の参院選や昨秋の衆院選で、憲法改正や家庭教育支援法の制定への賛同を明記した「推薦確認書」を自民党国会議員に示し、署名を求めていたことを特報した。事実上の政策協定。実際に署名した議員もいるという。

両者の関係性は、これまでの「うっかり関係団体の会合に出席した」から、さらに一段上がったと言えるだろう。「選挙での支援」と「政策実現」がバーターだったことになるからだ。自民党は、選挙で党の応援をしてもらう見返りに、反社会的とも言える活動をしてきた宗教団体側の政策の実現を図っている、ということになるからだ。

そのことに対する批判は、筆者などよりはるかに専門性の高い方々からすでに多数出ているので、あえてここで繰り返すことはしない。しかし、この問題を考える時、単に「自民党と旧統一教会の関係の深さ」という点に目を向けるだけでは、少々足りないと思う。「今さらながら」と言われるかもしれないが、ここで改めて着目すべきなのは、推薦確認書に記された内容なのではないだろうか。それはつまり「自民党と旧統一教会が歩調をそろえて、どんな社会を目指そうとしてきたのか」ということにほかならないのだから。

各種報道によれば、推薦確認書にはこんな政策が並んでいたという。

  • 憲法を改正し、安全保障体制を強化する
  • 家庭教育支援法及び青少年健全育成基本法の国会での制定に取り組む
  • 『LGBT』問題、同性婚合法化に関しては慎重に扱う
  • アジアと日本の平和と繁栄を目指す「日韓トンネル」の実現を推進する
  • 国内外の共産主義勢力、文化共産主義勢力の攻勢を阻止する

まず憲法改正だ。ひとくちに憲法改正といってもいろいろな方向性があるが、ここでは当然「自民党が2012年に策定した憲法改正草案の実現」ということになるだろう。なるほど、改めて読み直してみれば、それは「安全保障体制の強化」に過度に偏り、現行憲法の平和主義を、こっそりとではなく、明確に捨て去った改正案になっている。

例えば前文。現行憲法にある「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」という文言が、まるまる消えている。代わりに挿入されたのが「日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り」という言葉だ。軍事的な「守り」だとは明示されていないが、どんな言葉が抜け落ちたのかを考えれば、意味するところは明確だろう。

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