「不適切なアドバイス」のアンチパターン
もし、アドバイスのつもりで言っていることや普段の言動の中に、意識せずこのようなキーワードが紛れ込んでいる心当たりがあれば要注意である。
●「昔は…」「私の若い頃は…」
⇒昔と今とでは、社会情勢も景気も仕事の密度も、すべての背景事情が違う。変えられない前提条件を出しても意味がない
●「お前のためを思って…」
⇒そう言えるのは、本当に相手のためになるか否かを判断できるくらい、相手のライフプランやキャリアプランまでをも知悉できている、信頼関係が強固な場合だけだ。そうでなければ、「相手のため」という都合の良い大義名分をもって、相手をコントロールしようとしているに過ぎない
●「このままじゃウチで/社会で通用しないぞ!!」
⇒同様に、相手の将来を心配している風を装いながら、「俺の言うことを聞け」とマウンティングしていることと同義。本当に相手のためを思い、成長を願っているのなら、そんな脅迫的な言い方はしない。
●「今苦労しておけば、後で楽になるぞ!」
⇒確かに個人的にそのような実体験があったのかもしれないが、だからといって「今現在の苦労」に対する解決策になっていなければ意味がない。単に希望的観測を述べるだけで、相手が今現在陥っている苦境にまつわる訴えを押さえつけようとしているだけだ。
●「そんなのよくあることだよ!」「まだまだ若いな!」「いつか気づく日がくるよ!」
⇒指摘自体は事実なのかもしれないが、相手が今抱えている苦悩や葛藤、焦燥といったネガティブな感情に対して向き合っておらず、解消もできていない。また年齢差や経験差によるマウンティングの一種のようにも感じられ、うっすら見下されているようにも捉えられてしまうだろう。
●「っていうかさ、」「お前はそう言うけど、」「いや、そうじゃなくて…」
⇒相手の言い分を充分に傾聴しないまま、否定的なニュアンスからアドバイスを始めてしまうことで、「この人は私の話を全く聞いてくれず、自分の言いたいことを言って終わりだ」と感じさせてしまう。
ネガティブな説教をポジティブな言葉に変換する技術とは?
いずれも、一つ一つはささいなことかもしれないが、その積み重ねで、気づかないうちに相手に不快感や不信感を抱かせてしまい、あなた自身の信用までも毀損してしまっているリスクがある。しかも、相手はあなたに面と向かって指摘できる人であるとは限らない。自分で意識し、改善を続けていくしかないのだ。
「『求められないアドバイスはするな! 』『アレを言うな! 』『コレを言うな! 』…では、業務上どうしてもアドバイスする必要が出てきたら、どうすればいいんだ!?」
とお嘆きの方に対しては、「コミュニケーションサイクル」を意識して助言することをお勧めしている。これは、いきなり本題のアドバイスをズバズバぶつけるのではなく、何段階かのコミュニケーションの「クッション」のようなものを用意し、かつ相手が「アドバイスを受け容れやすい状態」になるように外堀を埋めてから助言をおこなう、という方法だ。文章で説明すると長くなるため、まずは図をご覧頂きたいーー
(※『ブラック企業アナリスト 新田 龍のブラック事件簿』2022年10月14日号の【絶対に部下にしてはいけないアドバイス】全体約5,800字を約3,100字に抜粋・再構成して掲載/後半部分では、コミュニケーションの中で何を意識すべきかの助言を掲載中。普段あなたが無意識に行っている反応をどんなふうに変えればよいか、具体的なアドバイスを初月無料でご覧いただけます。残約3,000字)
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