元国税が暴露。相続税も払わぬ世襲政治家に搾取されるニッポンの異常

 

なぜ「地盤」は無税なのか?

しかし、政治家の税金の本当の美味しさはこんなものではありません。政治家が本当に優遇されているのは、「相続税」なのです。というのも、世襲議員は莫大な財産を無税で相続しているからです。

まず彼らの「地盤」には相続税が課せられません。政治家の最大の財産は「地盤」です。政治家は選挙では、かなりお金を使います。長い間お金を使って培ってきた「地盤」というのは、政治家にとって生命線でもあり、もっとも大きな財産です。

国会や地方議会では、二世議員があふれています。彼らは先代の地盤を受け継いだだけで当選してきています。彼らが地盤を引き継がずに、一から政治活動を行おうとすれば、相当のお金がかかるはずです。

地盤がなにもない人が、政治を志して立候補しようと思えば、初期費用だけで市会議員レベルで数千万、県議会レベルで数億、国会議員では数十億単位の金がいるといわれています。しかもそれは初期費用であり、それなりの地盤を作るためには、気の遠くなるような莫大な費用がかかるのです。

では二世議員たちは「地盤」を受け継ぐときに、贈与税や相続税を払ったか、というともちろん否です。「選挙の地盤が相続税の対象になるわけはないじゃないか、そんな屁理屈を言うな」と言われる人もいるかもしれません。でも日本の税制では、本来、選挙の地盤にも相続税はかかるはずなのです。

相続税法では金銭的な価値があるものならば、すべて相続税の対象となることになっているのです。選挙の地盤は、相当な金銭的価値があるのは明らかなのだから対象にならないはずはないのです。

政治団体という法律の抜け穴

また世襲議員は「地盤」だけではなく、譲り受けたお金についても、ほとんどの場合、相続税がかかりません。というのも、国会議員はだいたい自分の政治団体をつくっています。この政治団体が、法律の抜け穴になっているのです。

政治団体に個人が寄付をする場合、非課税となっています。そして政治資金規正法で、個人は政治団体に年間2000万円までは寄付できるようになっています。だから、親が毎年、2000万円を子供の政治団体に寄付していけば、相続税をまったく払わずして、自分の資産を譲り渡すことができるのです。

さらに、政治団体から政治団体に寄付をする場合も、非課税であり、しかもこの場合は、寄付金の上限額はありません。世襲議員の場合、親も本人も別個の政治団体をつくっています。だから親の政治団体から子供の政治団体に寄付をするという形を取れば、何億円であろうと何十億円であろうと無税で相続することができるのです。もし、親が急に死亡した場合でも、親の政治団体から子供の政治団体にお金を移せば、相続税はゼロで済むのです。

このように親の政治家がため込んだお金が無税で子の政治家に渡るシステムがあるので、世襲政治家が増殖することになったのです。

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