核戦争は“ラクダ”のあとで。半年後にロシア必敗プーチンの腹の内

 

ロシアとウクライナの状況

ウ軍は、ロ軍の人的損害を覚悟の上での大規模攻勢に備える体制を取り始めた。この背景には50万人以上の訓練済の動員兵を前線に配備したからである。秋の動員数は30万人であるので、その後も動員を続けていたことになる。この人員で大攻勢を仕掛ける可能性を、ウ軍は警戒している。

このため、ロ軍は、契約軍人が契約期間を満了しても契約解除に応じず、動員兵の退役も認めないという。突撃させて死ぬことでしか退役できないようにしている。脱走や投降、撤退も監視して、させないようにする督戦隊を配備して、士気が低くても戦える体制にしている。脱走兵は、皆の前で殺すようであり、逃げ出すこともできないようだ。

このような状態であり、今までにロ軍の人的被害は、死傷者数が20万人を超えていると見られている。

もう1つ、2023年2月2日に、ロシアは新規のパスポート発行を停止した。動員逃れで、海外に逃げ出す人を止めるためである。

プーチンは、欧米戦車などの兵器が揃う前に、ウ軍に攻勢を掛けるしかないので、3月中に東部ドネツィク・ルハンシク両州の完全占領することを命令したという。ということは、クレミンナ・スバトボやバフムトで大規模反撃があることになる。

そして、再度、ロ軍はリマンを目指すことになりそうである。そうしないと、ドネツクの完全占領はできないからである。

その攻勢は、2023年2月24日以降に始まる可能性があるとのこと。

ダニロフ国防会議書記やレズニコフ国防長官は、50万人のロ軍が大規模反撃に参加するが、多くの損害が出て弱体化して、ウ軍が5月欧米戦車などが揃った後の反転攻勢でのロ軍防御力を弱めることになるとみているようだ。このため、ロ軍の大規模攻勢に、ウ軍がどう持ちこたえるかが、重要なことになる。

ウ軍は、レオパルト2戦車が100+α両、ラインメタル社のレオパルト1戦車が88両供与される方向である。しかし、訓練が必要であり、早くても3月終わり、戦場に出てくるのは、5月になる可能性もある。

なお、前回ギリシャも供与する可能性があるとしたが、ギリシャは供与しないことになった。トルコとの紛争があり、現時点では、それに備えることが必要であり、余力がないとした。

続いて、ポーランドもレオパルト2戦車14台供与と言っていたが、すぐにはできないと言い始めている。カナダを除く、その他の国もすぐにではないというので、ドイツは逆に説得に懸命になっているという。ということで、ラインメタル社のレオパルト1戦車の88両が非常に大きいことになっている。T-74戦車と同じ世代の戦車であり、戦場では活躍が期待される。

それと、レオパルト1戦車の主砲は、105mm砲弾であるが、あまりこの砲弾が使われていない。このため、ドイツはブラジルに105mm砲弾の供与を打診したが断られたという。アメリカのストライカーMGS用の105mm砲弾やイタリアの105mm砲弾、それと韓国のM48とK1用砲弾などである。日本も使用しているが法的制約がある。

そして、ウ軍は、レオパルト2戦車と装輪装甲車が手に入り、次にF-16戦闘機、アパッチヘリやGLSDBなどの長射程爆弾などの兵器・弾薬の供与を欧米諸国に要請している。

この内、GLSDBの供与が決まった。HIMARSから発射できるが、ウ軍にすでにあるHIMARSは、100km以下のロケット弾しか発射できない制限がついているので、GLSDB用の発射HIMARSを提供するという。

GLSDBは、150kmの射程があり、クリミア半島まで届くことになる。このため、前線から100km程度離れた場所にロ軍は、補給基地を作り補給体制を完成させたが、この補給基地を150km離れた場所に作り直す必要がある。

そして、残念ながら、F-16の提供について、米国は供与しないと表明しているし、ウォレス英国防相は戦闘機供与に対し、「この恐ろしい紛争において魔法のつえはない」という。間接的な否定のように聞こえる。というので、供与は当分先になるようだ。

ポーランドはF-16の供与を表明しているが、EU全体の承認が必要というので、難しいようである。言い出しっぺのポーランドでしょうね。

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