プーチンがウクライナの次に狙うは、NATO非加盟の「侵略しやすい国」

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どれだけ国際社会からの批判を浴びようとも、ウクライナ侵攻の手を緩めることのないプーチン大統領。先日、そんな21世紀最悪の独裁者の「次なる野望」がリークされました。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、プーチン氏の直属機関から流出したという文書で明らかになった、ロシアがウクライナの次に狙いを定めている国の名を紹介。さらに日本国内でもよく耳にする、「欧米によるウクライナへの武器供与が戦争を長引かせている」という主張が誤っている理由を解説しています。

プーチンがウクライナの次に狙っている国

プーチンは、「20世紀前半の領土観を持った政治家」といえるでしょう。

この人の頭の中で「領土」は、非常に「相対的なもの」なのです。あたかも、ヒトラーのメンター・ハウスホーファーが「生存圏理論」を主張していた時代のごとしです。

例えば、プーチンは08年のロシアージョージア戦争で、ジョージアから、南オセチア、アプハジアを事実上奪いました。その直後、クリミアについて、なんといっていたか?

「クリミアは、係争地ではない。南オセチア、ジョージアと違い、クリミアには人種間の対立はなかった。ロシアはかなり前に、今のウクライナの領土を認めている。私達の国境に関する話し合いは、事実上終わっている」

彼は、こう語り、ロシアがクリミアを狙っていることを完全否定しました。興味がある方は、こちらの映像をごらんください。英語訳もついています。

Неужели это Путин? – “Крым не является спорной территорией”

しかし、皆さんもご存知のように、プーチンは2014年、ウクライナからクリミアを奪いました。2022年9月には、ウクライナからルガンスク州、ドネツク州、ザポリージャ州、ヘルソン州を奪いました。

「親プーチン派」の人たちは、「プーチンは、ルガンスク、ドネツクで迫害されているロシア系住民を救いたいだけだ!」と主張していましたが…。では、どこから「ヘルソン、ザポリージャ併合」はでてきたのでしょうか?納得できる説明は聞いていません。

というわけで、プーチンの「領土欲」には際限がないようです。

実際、ロシアの元上院議長ミロノフは、【 北海道は、ロシア領 】と主張しています。時事2022年4月9日。

ロシアのウクライナ侵攻を受けて日本が対ロ制裁を科す中、ロシアの政党党首が「一部の専門家によると、ロシアは北海道にすべての権利を有している」と日本への脅しとも受け止められる見解を表明した。

見解を表明したのは、左派政党「公正ロシア」のミロノフ党首で、1日に同党のサイトで発表された。公正ロシアは政権に従順な「体制内野党」。ミロノフ氏は2001~11年に上院議長を務めた。

次のターゲットは〇〇〇〇

プーチンの領土欲に際限がないとして、次のターゲットは、どこなのでしょうか?

すぐ思いつくのは、エストニア、ラトビア、リトアニア、いわゆる「バルト三国」でしょう。しかし、これらの国々は、「NATO加盟国である」という問題があります。

もしロシアがバルト三国を攻めれば、自動的にNATOと戦うことになる。そういう意味で、NATO加盟国ポーランドへの侵攻も、決意がいります。

しかし、ロシアの西側に位置し、NATO加盟国ではなく、あまり強くない、要するに、「侵略しやすい国」が存在します。

それが、モルドバ。

モルドバは、ウクライナの西南部と接する、人口400万人ほどの小さな国です。旧ソ連国。1991年8月に独立し、同年12月に独立国家共同体(CIS)に加盟しました。

その後、ソ連崩壊後のウクライナ同様、「親ロシア派」と「親欧米派」の綱引きがつづいてきました。

2020年11月に当選したマイア・サンドゥ大統領は、バリバリの親欧米派。彼女は、ハーバード大学ケネディ─スクールに留学。その後、世界銀行に勤務していた。

2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻しました。同年3月、危機感を強めたモルドバ政府は、EU加盟申請をしています。「旧ソ連はロシアの勢力圏」と考えるプーチンは、激怒したことでしょう。

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