大企業を儲けさせただけ。黒田日銀総裁“アベコベ”ノミクスを総括する

 

アベノミクスはトリクルダウンも起こせなかった!

安倍政権は、日銀によるETF(上場投資信託)買い入れや、公的資金投入(年金財源)で株価を押し上げ、法人税減税で大企業中心に支援を続けました。ただし、株価を押し上げたといっても、所詮は、政府による「官製相場」にすぎませんでした。

大企業は史上空前の利益を上げ、その内部留保額は、2021年度末で484・3兆円まで膨らみます(資本金10億円以上)。人件費を削りに削った結果がこれでした。結局アベノミクスは大企業優先の経済政策で、国民の所得を増やすまでには到っていなかったのです。

トリクルダウン(富める者を富ませれば貧しい者にも、富が滴り落ちる)を狙ったのでしょうが、消費税率を2回もアップさせて不況に輪をかけ、格差を広げるばかりで、アベノミクスというよりも、アベコベノミクスだったのです。

安倍首相のいう「経済の好循環」には程遠く、むしろその後遺症が目下の最大懸念となっているのです。

日銀の債務超過危機が迫る! ハイパーインフレの危険!

米国では、シリコンバレー銀行やシグネチャー銀行の破綻に続き、ファースト・リパブリック銀行の経営不安など、中堅銀行への危機の連鎖が噂されています。また欧州スイスの金融大手クレディ・スイスの経営不安までもが表面化しています。

インフレ抑制に伴う中央銀行の利上げによって、借り入れが難しくなった企業に預金が流失し、また保有する債券価格の下落(金利は上昇)によって巨額の含み損を膨らませたことが主な要因となっているのです。インフレが長引くほどに、中堅銀行の経営危機が連鎖しかねない状況なのです──
(メルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図──政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』2023年3月20日号より一部抜粋)

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