もはや瀕死の立憲民主党。最大野党が聞いて呆れる幼稚園レベルの安保論議

 

岸田政権の言い分を野党第一党がそのまま真似る滑稽さ

さて、立憲民主党は岸田大軍拡の方針に対する見解として「外交・安全保障戦略の方向性」と題した文書を、玄葉光一郎=同党ネクスト外務・安保相が中心になって昨年12月20日付でまとめた〔文末に全文掲載〕。一応、政府の「敵基地攻撃能力」「反撃能力」については「賛同できない」とは言うものの、「ミサイル能力の向上」それ自体は条件付きで容認しているという怪しげなもので、これでは『サンデー毎日』4月2日号の河野洋平=元衆議院議長・元自民党総裁の「岸田軍拡、もう黙って見ていられない」の方がよほどスッキリと問題点を指摘していて、リベラル的である。

(1)安全保障環境はますます厳しい?

文書は「2.我が国を取り巻く安全保障環境に対する認識」で、周辺国の軍事力強化が急速に強化されていて、我が国を取り巻く安保環境が厳しさを増している旨を述べているが、これは政府の見解のほぼ引き写しで、何の反論も試みていない。これとは対照的に、河野は、

(1-1)米国は安保面で世界の警察官的役回りをせず、ある意味、中国の台頭にすっかり怯えてしまっている。自分を脅かす奴は許さん、叩いてしまえ、という雰囲気になっている。政治だけでなく米国民全体が怯えている、と僕には見える。こういう時こそ中国を一番理解できている日本が「心配することはない。中国というのはこういう国なんだ」と教えてあげなければいけない。であるのに米国と一緒になって「大変だ、大変だ」と走り回っているのが現状だ。

(1-2)台湾有事が心配だと言うなら「本当にそうですか」と中国に聞けばいい。……直接聞きに行くこともしない。……台湾有事にしないためにはどうするか、を議論すべきなのに、なったらどうするかばかりだ。……心配の種があるならそれをどう取り除くかという作業に集中すべきで、心配だから急いで武器、弾薬を準備するというのは、浅薄な判断としか思えない。

(1-3)軍事侵攻は僕はないと思っている。……僕が知る限りでは、中国は日本とは外交も経済もちゃんとやりたいと思っている。台湾への武力侵攻が相当なリスクをもたらすことも彼らはよく分かっている。台湾は独立を言わない。中国も武力に頼らない。現状維持がお互い一番いいということだ。

その通りで、私は全く同意見である。ここから見ると、米国発の「中国脅威論」「台湾有事切迫論」を日本政府がそのまま犬の遠吠えのように繰り返し、中国とは腹を割って話をすることも避けているのを、さらに野党第一党までもが真似しているのが滑稽である。

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