ダイエット法の多くがすぐ消える中「糖質制限食」だけが存続する訳

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摂取カロリーより消費カロリーが少ないと体重が増えます。簡単な算数の問題で、摂取カロリーを減らしてダイエットに成功しても、食事を元に戻せばリバウンドするのは当たり前。ではなぜ摂取カロリーを減らさない「糖質制限」でダイエットが可能なのでしょうか。今回のメルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』では、著者の江部康二医師が、同じ摂取カロリーでも炭水化物の割合を減らすほど消費エネルギーが増えるというアメリカでの研究を要約して紹介。自身が提唱し実践してきた「スーパー糖質制限食」の有効性を裏付けるデータとして提示しています。

糖質制限ダイエットは、消費エネルギーが減るどころか「増大する」との研究結果

一旦、減量させたあと、炭水化物含有量が違う3つの試験ダイエット:
(1)炭水化物60%の高量群
(2)同40%の中量群
(3)同20%の低量群
を実施したところ、20%の低量炭水化物群において、最もエネルギー消費量が増大した。という結論の論文が、ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル2018年11月14日号に報告されました。(Ebbeling CB, et al. BMJ. 2018;363:k4583.)

以下、難しい用語を省いて、ごくわかりやすく要約してみました。

この研究はRCT(無作為化比較試験)であり、米国2施設で2014年8月-2017年5月に行われた。被験者は、18-65歳でBMI値25以上の164例。

 

被験者は、まず導入ダイエット期間(9~10週間)に体重を12%減少させた後、炭水化物含有量が異なる3つの試験ダイエット(60%の高量群、40%の中量群、20%の低量群)のうち1つを、20週間続けるよう、無作為に割り付けられた。

 

2kg以内の範囲で体重減を維持するために、各試験ダイエット群は、たんぱく質の量でエネルギーを調整した。

 

総エネルギー消費量は、各ダイエットによって異なり、炭水化物含有量10%減少につき、総エネルギー消費量は52kcal/日増大する線形の傾向が認められた。

 

体重減前のインスリン分泌能が高いほど、低炭水化物ダイエットの効果が大きくなった。

一般にカロリー制限食で減量した場合、基礎代謝量も低下するので、半年くらいで、減量効果はなくなり、通常のカロリーに戻したら、リバウンドするというパターンとなります。

日本でも様々なダイエット法が提唱されてきました。しかしながら糖質制限食以外の「従来の様々な減量のための食事療法」は、そのほぼ全てが、基本原理はカロリー制限食です。そのため、従来のダイエット療法は結局は継続困難であり、皆、3ヶ月から半年で廃れてマスコミから消えていきました。

糖質制限食だけは、唯一、2005年に「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)を上梓して以来ずっと存続していて、2023年現在、勢いはどんどん盛んになっています。

今回の研究で、炭水化物摂取比率20%の群が、40%群や60%群に比し、エネルギー消費量が最も増大することが明らかとなりました。又、炭水化物含有量10%減少につき、総エネルギー消費量は52kcal/日増大することもわかりました。

つまり、通常のカロリー制限ダイエットと異なり、糖質制限ダイエットは、消費エネルギーが減るどころか、増大するということであり、非常に大きな利点と言えます。

高雄病院の「スーパー糖質制限食」は糖質摂取比率が12%くらいなので、本研究の糖質摂取比率20%群よりさらに、消費エネルギーが増えると思われます。糖質制限食はダイエットの王道であり、消費エネルギーが増大する唯一の食事療法です。

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(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

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【著者】 江部康二 【月額】 ¥660/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 火・金曜日

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