社内では「売れるわけない」と反対する声ばっかりだった製品が、あるSNSでの投稿ひとつで話題となり注文が殺到しています。今回は、MBAホルダーで無料メルマガ『MBAが教える企業分析』の著者である青山烈士さんがその製品をピックアップし、販売の戦略と戦術を分析しています。
目を向ける方向
今号は、ダメになれるクッションを分析します。
● 縫製会社のタキコウ縫製が展開している「着るビーズクッション」
※ 紹介動画はコチラ↓
【ハナロロ】着るビーズクッション
自宅でゆるーく過ごしたい方をターゲットに「一つひとつ手作りするこだわり」に支えられた「心地よく座ったりゴロゴロできる」等の強みで差別化しています。
見た目が斬新な製品であることもあり、SNSでの投稿が話題となり、注目を集めた結果、注文が殺到し、製造・出荷が間に合わない状況になっています。
■分析のポイント
「着るビーズクッション」の販売前、社内では「売れるわけない」という声ばかりだったそうです。
その反対の声を押し切って、「欲しい」と言ってくれたお客様の声を信じて、社長が販売に踏み切ったようです。
多くの企業では、奇抜なアイデアや斬新なアイデアは、反対されることがほとんど、だと思います。
反対されることで、当初は尖っていたアイデアもだんだんと、尖りがなくなり、平凡な製品に落ち着いてしまう、という残念な結果につながってしまうことも想像に難くありません。
恐らく、社内にいるメンバーは自社の製品の使われ方についてはよくご存知だと思います。ですが、よく知っているからこその「落とし穴」もあります。
一度、使われ方の常識・枠にとらわれてしまうと、想定外の使い方を受け入れることが難しくなるということです。
要するに、多くの知っているお客様がベースにあると、その延長線上にないものは、反対の対象となるわけです。
こういった「落とし穴」にハマると一般的な使い方とは外れたアイデアを「売れるわけない」と思ってしまうことにつながってしまうのです。
たった一人のお客様の声を大切にできるか。その声が、一般的な使い方と外れていたとしても。
たった一人のお客様に、目を向けることができるか、それが、今回の重要なポイントとなります。
1万人に1人の声であったとしても1億人いれば、1万人いるということですからね。
大企業では、それでは少なすぎるでしょうが、中小企業であれば、自社製品が1万個売れる見込みがあれば大きな機会でしょう。
むしろ、中小企業こそ、こういった小さな声に向き合うことが求められるはずです。
今後、タキコウ縫製より、どのような製品がリリースされていくのか注目していきます。