競馬の若手女性騎手たちが「騎乗停止」に。なぜJRA前代未聞の不祥事は起きたか

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スポーツ紙等で大きく報じられた、日本中央競馬会に所属する女性騎手5名、男性騎手1名が、スマートフォンの不適切使用で30日間の騎乗停止処分となった事件。このような不祥事は、なぜ発生してしまったのでしょうか。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーで競馬ファンでもあるきっこさんが、事件の概要を解説するとともに、処分を受けた騎手たちがスマホを禁止エリアに持ち込んでしまった背景を考察。その上で、深い反省の態度を見せる彼ら全員にエールを送っています。

JRA(日本中央競馬会)で起きた前代未聞の不祥事

すでに報道でご存知の人も多いと思いますが、JRA(日本中央競馬会)で前代未聞の不祥事が起こりました。騎手の今村聖奈(19)、永島まなみ(20)、古川奈穂(22)、河原田菜々(18)、小林美駒(みく)(18)、角田大河(つのだ たいが)(19)の6人が、通信機器の持ち込みが禁止されている開催中の競馬場の控室などにスマホを持ち込み、インターネットを閲覧したり通話をしていたとして、5月13日から6月11日までの30日間(開催10日間)の騎乗停止処分を受けたのです。

競馬に限らず、競輪やオートレースやボートレースなど、公営ギャンブルの選手は、レース開催中のレース場の控室などには、スマホなどの持ち込みは禁止されています。これは、内部の者しか知りえない情報を外部に漏洩するのを防ぐための規則で、JRAでは入室前にスマホなどはセーフティーボックスに預けることになっています。

しかし今回、永島まなみ、古川奈穂、河原田菜々、小林美駒の4人は、4月23日の福島競馬の控室にスマホを持ち込み、インターネットを閲覧しました。今村聖奈と角田大河は、同日の京都競馬の控室と調整ルームにスマホを持ち込み、インターネットを閲覧したり、お互いに通話をしていたのです。今村聖奈と角田大河は、競馬学校でも同じ第38期生ですし、小学校も中学校も同級生という幼馴染なので仲良しですが、それとこれとは別の話です。

日本には、北海道帯広市の「ばんえい競馬」や各地の「地方競馬」を含めて、約20人の女性騎手がいます。このうち6人が日本の競馬の頂点であるJRAに所属しているのですが、その6人のうち5人が一斉に処分を受けたのです。きちんと規則を守っていたのは、最年長の藤田菜七子(25)だけなのです。女性騎手を応援しているあたしとしては、本当にガッカリです。特に今村聖奈は素晴らしい才能を持った若手騎手なのに、どうしてこんなことになってしまったのでしょうか。

昨年2022年のJRAの女性騎手の優勝回数は、藤田菜七子が8勝、古川奈穂が10勝、永島まなみが21勝、今村聖奈が51勝です。今村聖奈は昨年3月に18歳でデビューしましたが、そのデビューした年に51勝もしたのです。それも、新人はあまり良い馬には乗せてもらえないのに、人気が下位の馬を上手に操って何度も優勝したのです。これまで、JRAの女性騎手のデビュー年の最多優勝数は「9勝」だったのに、それを22年ぶりに「51勝」に更新したのです。

一方、その今村聖奈とスマホで通話していた角田大河も、昨年3月5日の阪神1Rのデビュー戦で、8番人気の馬で優勝し、続く阪神2Rでも優勝し、栗田伸一、福永祐一に並ぶ史上3人目の「デビュー2連勝」を達成しています。これほどの逸材である上に、父はJRAの調教師、兄はJRAの騎手なのですから、スマホの持ち込みが規則違反であることを知らないはずがありません。

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