習近平の怒りを買った韓国。中国の「魔の手」から逃れられるのか

2023.05.23
az20230522
 

親中、親北姿勢を取り続けてきた前政権から一転、日米との連携強化路線を突き進む韓国のユン大統領に対して、不快感を隠さない中国。習近平政権はこの先、韓国にいかなる対応を取るのでしょうか。外務省や国連機関とも繋がりを持ち、国際政治を熟知するアッズーリ氏は今回、中国が韓国に経済攻撃を仕掛ける可能性が高いと指摘。ユン政権がその魔の手から逃れられるかが大きな問題になりつつあると分析しています。

激怒の習近平。日米に急接近の韓国に中国が仕掛ける経済攻撃

中国と韓国の関係が悪化している。昨年5月大統領に就任したユン大統領は前政権で冷え込んだ米国や日本との関係改善に舵を切り、この1年の外交はそれ一色だった。最近では、ユン大統領は4月に米国を訪問してバイデン大統領と会談し、核ミサイル開発を進める北朝鮮に対して日米韓3カ国で連携していくことで合意した。また、緊張が高まる台湾情勢についても意見を交わし、台湾海峡の平和と安定の維持が地域の安全と繁栄に不可欠であり、力による現状を変更しようとする行動に反対する認識を共有した。そして、その後ユン大統領は米メディアのインタビューに応じ、現状変更を進める中国の立場に反対する認識を示した。

また、ユン大統領は同時に日本へも急接近を図っている。3月下旬、韓国のユン大統領は日本を訪問して岸田首相と会談し、経済安全保障や先端技術、対北朝鮮などで日韓の協力を強化し、未来志向で建設的な日韓関係を構築していくという認識で一致した。そして、それから間もない中、今後は岸田総理がソウルを訪問してユン大統領から強く歓迎を受け、ここに日韓シャトル外交が形となって再開した。

韓国の関係改善姿勢を本気と受け取った日本

2回の会談で注目されるのは、上述した分野の中でも経済安全保障分野で、サムスン電子が横浜に半導体製造工場を作ることが報じられるなど、今後はAIや先端半導体などハイテク分野を中心に日韓の協力がいっそう強まるだけでなく、先端半導体の強固なサプライチェーン構築を目指して日米韓の結束がさらに深まる可能性がある。ユン大統領は就任当初から岸田総理への接触を図ってきた。

昨年7月、ユン大統領は岸田総理も参加したNATO首脳会合に参加し、その際に開催された晩さん会で両者は初めて対面で意見を交わし、ユン大統領は岸田首相に日韓間の懸案事項を速やかに解決し、両国関係を未来志向に進める考えを持っていると伝えた。両指導者は昨年11月のAPEC首脳会合の際にも会談を行い、それが最近の日韓シャトル外交の再開に繋がった。日本側もユン政権の誕生を歓迎したが、岸田総理は日韓関係の改善は待ったなしとの認識だったが、本当に韓国が真剣に関係改善を求めているかという慎重姿勢は崩さず、この1年あまりはユン政権の真剣さを注視していたと思われる。今日では、ユン大統領の気持ちは本物だと日本側もそれを認めている。

print
いま読まれてます

  • 習近平の怒りを買った韓国。中国の「魔の手」から逃れられるのか
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け