出汁がら昆布の糖質量は問題なし。それでも食べ過ぎ要注意のワケ

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糖尿病などで糖質制限をしている人が、食材の糖質量を把握するために参考にするのが、日本食品標準成分表に示された値です。そこでうっかりしてしまうのが、乾物など戻して利用する食材の分量の把握。今回のメルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』では、糖質制限食の提唱者として知られる江部康二医師が、読者からの指摘で昆布の糖質量の認識違いを認め、「糖質制限OK食材」と判断を改めています。その一方で、昆布の食べ過ぎは別の病気を招く可能性があることを伝え、注意を促しています。

昆布の糖質量

【読者からのご報告】

昆布の糖質についてですが、だし用の素干し昆布100gでだしを取った後の昆布の重量は約5倍になります(柔らかくなるまで煮ると6倍)。よって、糖質は約25.1g/500g、100gあたり約5gとなります。

家庭(4~6人分)で素干し昆布20gを使って、だしを取った後の昆布の重量は約100gとなります。

●利尻昆布/素干し(可食部100g当たり)
・エネルギー:138kcal
・水分:13.2g
・タンパク質:8.0g
・脂質:2.0g
・糖質:25.1g
・食物繊維:31.4g
・灰分:20.3g
*日本食品標準成分表2015年版(七訂)

私はだしを取った後の昆布を、刻んだり煮物にして、いつもおいしく食べています。なお、一度に食べる量が25~50g(糖質1.25~2.5g)ですので、血糖値の上昇はほとんどありません。

江部先生からの返信

昆布の糖質量についてお知らせいただきました。ありがとうございます。私は以前は、昆布に関して「だしはとってもいいけれど、糖質が多いので食べてはだめ」と言ってきました。しかし、だしを取って膨らんだ昆布は、ご指摘のように100g中に約5gの糖質であり、糖質制限OK食材と言えます。

私は、乾燥重量で、100g中に25.1gも糖質があるので単純に糖質が多いのでNG食材と思っていましたが「だしを取って膨らんだ昆布は、適量なら、糖質制限的に食べても大丈夫」と考え直しました。

一方、甲状腺機能低下症の問題があります。過去、健康に良いということで昆布を積極的に食べてていた方々において、私の経験だけでも30名以上の甲状腺機能低下症を認めました。多くの場合、昆布に含まれるヨードの過剰摂取によるものと考えられました。

正確には、定期的に年に2回くらい、血液尿検査をすることが多いのですが、TSHが高値でFT4が軽度低値の人が時々発見されるということです。

これらの方々の多くが、聞いてみると昆布を積極的に食べておられました。そして、昆布を止めたら、速やかに正常値に戻りました。やはり、昆布の食べ過ぎには要注意ということになります。

なお橋本病(慢性甲状腺炎)という甲状腺の病気があります。成人女性の10人に1人、成人男性の40人に1人にみられ、比較的よくある病気です。

橋本病は自己免疫疾患です。橋本病のうち甲状腺機能低下症になるのは4~5人に1人未満です。大部分の人では甲状腺ホルモンは正常に保たれています。

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(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

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