依頼人との密なコミュニケーションが求められる探偵という職業は、一般企業では考えられない理由で顧客と揉めてしまうことがあるとか。メルマガ『探偵の視点』の著者で現役探偵の後藤啓佑さんが、実際にあったトラブルの事象を解説します。
お客さんと揉める時
探偵業はおそらく他の業種よりも、お客さんと揉めるタイミングが多い職業です。今回は、これまで僕や周りの探偵たちが揉めてきた事象をまとめてみました。探偵業やサービス業の人にはとても参考になると思います。
ざっと並べましたが、お客さんと揉める時の9割以上は下記になります。
1.適切な提案が無い時
2.見積書と請求書に差がありすぎる時
3.GPSを把握できていなかった時
4.調査が発覚した時
5.浮気していなかった時
6.有益な情報がなにも出なかった時
1.適切な提案が無い時
→相手の主張を聞き、その内容に沿った証拠を撮るだけでは良い探偵とは言えません。
目的を把握した上で、どの手段が最適なのか、落としどころをどこにするのか?それらの提案が無ければ、お客さんからは「なにも言ってくれなかった」とクレームになるでしょう。
2.見積書と請求書に差がありすぎる時
→これはおそらく、大きい探偵事務所がお客さんと揉める時の一番の理由になっていると思います。差が調査経費分の3,000程度なら理解できますが、中には100万円を超えたという話も。揉めること間違いなしです(圧をかけて説得しているところもあるようですが)。
どこからが「追加調査」になるのかをあらかじめ共有しておくといいでしょう。
3.GPSを把握できていなかった時
→GPSを対象者の車両に付けておきながら、放置していることがあります。僕も過去にはありました。
お客さんは、24時間GPSを見てくれていると思っているので、まずは見るタイミングの説明をしておくことと、見る時間を作ること。これは意外と大切なことです。
4.調査が発覚した時
→当然、揉めます。しかし、ある年数以上の調査現場を経験している調査員であれば、発覚するレベルのミスを起こすことは非常に稀です。発覚の原因がお客さんにあることが多いので、「何をしてはいけないのか」をあらかじめ共有しておくことが重要です。
ここは、お客さんとの信頼関係を築くという意味でも、常にコミュニケーションを取っておくといいでしょう。
5.浮気していなかった時
→調査にお金をかけたのに、浮気していない!このことにクレームをいれるお客さんもいらっしゃいます。
こうならない為には、お客さんとの面談の段階で、調査が空振りになるリスクについて説明しておく必要があります。
6.有益な情報がなにも出なかった時
→浮気にしろ企業のトラブルにしろ、調査をしたのに有益な情報が出てこないのは、お客さんにとって非常に強いストレスになります。
考え得る全ての方法でダメならば仕方がないです。「この部分の情報が無い」という事実それ自体が、次に繋げるための有益な情報と受け取ってもらうべきです。
例えば、浮気でシロだった場合は、シロという事実を受け止め、浮気以外の離婚事由で勝負するという選択肢を「とれた」と考え前に進むべきです。
信頼関係と伝え方の技術が、お客さんとのトラブルを避ける武器となります。
以上、とてもコアな部分でしたが、探偵がお客さんと揉める時はだいたい上の6つのパターンです。裏を返せば、この6つに細心の注意を払い、6つにひっかかる原因を潰していけば、顧客満足度の高い事務所になることができます。
当然、調査技術は大事ですが、こういったお客さんとのやりとりや社内オペレーションの部分を向上させることも、顧客満足に直結するのです。
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