南海トラフ地震より確実な恐怖。日本政府の無策が進める“亡国の少子化”

 

なぜ日本だけが少子高齢化になったのか?

しかし、この問題は日本だけのものではありませんでした。欧米では、日本よりもかなり早くから少子高齢化の傾向が見られていました。日本の少子化というのは1970年代後半から始まりましたが、欧米ではそのときにはすでにかなり深刻な少子化となっていたのです。そして1975年くらいまでは、欧米の方が日本よりも出生率は低かったのです。つまり、40年以上前から少子高齢化というのは、先進国共通の悩みだったのです。が、その後の40年が、日本と欧米ではまったく違うのです。

半世紀前、日本よりもはるかに深刻な少子化となっていたヨーロッパ諸国は、この50年の間、様々な子育て対策を行い、現在、出生率は持ち直しつつあります。

しかし、日本はむしろ子育て世代にもっともダメージのある政策ばかりを講じたのです。たとえば、大学の授業料はこの50年の間に、12倍にも高騰しています。また平成元年に導入され、たびたび税率が上げられてきた消費税は、子育て世代にもっともダメージが大きい税金なのです。収入における消費割合が一番大きいのが子育て世代だからです。

国はこの50年の間、子育てがしにくくなるような政策ばかりを講じてきたのです。現在、日本政府は「少子化対策」に力を入れてようとしていますが、まだ全然問題解決にはなっていないレベルです。半世紀前は、父親一人が働いていれば、どこの家庭でも子供二人くらいは育てることができました。しかし、現在は、夫婦共働きであっても、子供一人を育てるので精いっぱいという家庭が多いです。日本はいったいなぜそういう国になったのでしょうか?

ほかの先進国は少子化対策にお金をかけた

この半世紀の間、欧米諸国は子育て環境を整えることなどで、少子化の進行を食い止めてきました。下のデータは、先進主要国の家族関係の社会支出のGDP比です。家族関係社会支出とは児童手当や就学前児童への給付、各種社会保障、社会福祉などへの支出のことです。

先進主要国の家族関係社会支出(GDP比)

 

日本     1.29%
アメリカ   0.65%
ドイツ    2.28%
フランス   2.96%
スウェーデン 3.54%
イギリス   3.57%

 

国立社会保障・人口問題研究所「社会費用統計」より

これを見ると、日本はヨーロッパ主要国に比べて、かなり低いことがわかるはずです。ヨーロッパ主要国は少子化を食い止めるために政府がそれなりにお金と労力をかけているのです。

欧米諸国のほとんどは、1970年代の出生率のレベルを維持してきました。だから、現在では日本ほど深刻な少子高齢化にはなっていないのです。1975年の時点で、日本の出生率はまだ2を少し上回っていました。フランスは日本より若干高いくらいでしたが、イギリスもアメリカもドイツも日本より低く、すでに出生率が2を下回っていたのです。しかし、フランス、イギリス、アメリカは、大きく出生率が下がることはなく、現在は出生率は2に近くになっています。

一方、日本は70年代から急激に出生率が下がり続け、現在は1.4を切っています。もちろん、出生率が2に近いのと、1.4以下とでは、少子高齢化のスピードがまったく違ってきます。

次回もこの問題についてさらに掘り下げたいと思います。

(メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2023年7月16日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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