卵を多量摂取しても「血中コレステロールへの影響は小」は本当か?

 

わかりやすい例として、玄米菜食的な食生活をしていて糖尿病を発症した人が糖質制限食に切り替える場合があります。このとき、血糖値やHbA1cは速やかに改善して正常範囲内となりますが、LDLコレステロールは、軽く200mg/dlを超えて、250-300mg/dlを超えることもあります。

これは、玄米菜食時代は、食材のコレステロールが少ないので、肝臓が充分量のコレステロールを作って体内に供給していたのが、糖質制限食に切り替えて、食材のコレステロールがおおいに増えたので、これらが合わさってLDLコレステロール高値になったものと思われます。

勿論、肝臓が調整して徐々にLDLコレステロール値は落ち着いていくのですが、いかんせん個人差が非常に大きいです。半年~1-2年で落ち着くこともありますが、数年以上かかることもあります。個人の肝臓の調整力とはまあそんなものなのでしょう。

要するに、糖質制限食実践で高コレステロール食材摂取が増えれば、少なくとも短期的には高LDL血症になる人が結構多いと思います。この場合、LDLコレステロールが高値であっても、中性脂肪が80mg/dl以下で、HDLコレステロールが60mg/dl以上であれば、善玉のLDLコレステロールであり、悪玉の小粒子LDLコレステロールは、ほとんどありませんので安心です。

糖質セイゲニストの場合はまずそうなりますので心配ないのです。この方の場合も、卵をまたしっかり食べて、LDLコレステロールが高値になったとしても、糖質制限食の範疇であれば問題ないと思います。

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(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

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