厚生年金基金は国に支払う保険料を一部免除する代わりに、国の年金より有利な年金を支給するなら基金やってかまわないよっていう妥協の産物。
ただし、基金は保険料を積み立ててその積み立てた保険料を、将来は運用収入と共に受け取るもの。
一方、公的年金は賦課方式(昭和48年から強く賦課方式に傾いていった)で現役世代の保険料をその時々の受給者に送る装置であります。
全く異色のもの同士が継ぎ足されてしまいました。
積立方式ですと皆さんお分かりのように景気が悪くなると積立金がマイナスになったりしますし、インフレになれば価値は下がります。
老後の年金の価値を保障できません。
積立金で1,000万円貰えますよーってなっても、物価が数十年後に10倍になったら積立金価値は10分の1になりますからね。
しかし賦課方式は年金の価値を維持する事が出来るので、貧困を防ぐ事が出来ます。物価や賃金の伸びにスライドするので、現役世代の生活水準に差を付けられるのを防ぎます。
年金の価値を維持しないと容易に貧困に陥る危険があったので、ほとんどの国は早い段階で賦課方式に移行していきました。
日本なんて高度経済成長でどんどん物価も賃金も伸びていったので、賦課方式に移行しないと積立じゃやっていけないのは明白でした。
前述したように、会社が国よりもっと良い給付をしたかったからというのは建前であり、退職金と厚生年金の保険料まで負担したくなかったから。
別に「従業員の年金を増やしたいから、基金を作らせてくれー!」という事ではないです。それはもう取って付けた理由ですね。
しかしながら、国が支給するものを単に基金から支給するだけでは意味が無いですよね。
もちろん基金からは単に厚生年金から支給する年金以上のものを給付しないといけない。
そのためには会社が基金に更に別枠で保険料を負担し、基金が独自で運用するんですね。
運用目標は前述したように毎年の運用利回り5.5%を目指すというものでした。
それで本来の老齢厚生年金以上の給付を行おうとする。
ところが平成になってバブルが崩壊したら、そんな高い利回りなんか目指せなくなるわけです。
だんだん、「そんな運用できるかー!」ってなってくるわけです^^;
経済界が自分たちが、厚生年金保険料との調整のために基金作らせろ!って言ってしょうがないから基金の創設を勝ち取ったのに、そのせいで経済界は将来苦しむ事になっていきました。
そもそも、未来は不確実性の中なのに5.5%という高利回りがいつまでも続くと思っていたというのが信じられないですね。
この記事の著者・hirokiさんのメルマガ