いじめ加害者との「謝罪会」だったはずが…信じがたい“二次被害”の酷さ

 

二段階目の二次被害は、学校が設定した「謝罪会」で起きてしまいました。中学3年の6月、加害者側の父親と祖母、被害者と母親が学校に集まりました。その時、本人は、前年の始業式の日、飛び降り自殺を図り、車いすでの生活が続いていました。その学校の「謝罪会」では、加害者側は、その自殺未遂を糾弾したのです。

下記にテレ朝の記事を引用します。

その時の音声が残されていた。

加害者祖母:「何を希望してるのよ」
被害者:「謝ってほしくて」
加害者祖母:「ふざけるんじゃないよ。あんた」
加害者父親:「はっきり言おうか。その足になったのは君が飛び降りたからだ」
加害者祖母:「それを人のせいにするんじゃないよ」

被害者は約1時間にわたり、加害者側に責められた。
母親によれば、そこには担任、教頭、別の教師の3人がいたが、
誰一人として制止しようとしなかったという。
耐えられなくなった本人は大声を上げた。そして、先生に連れられ、教室を後にした。

謝罪会以降、その時の光景がフラッシュバックするようになり、夜も眠れなくなった。

夜中に突然、家を飛び出そうとすることも多く、母親は被害者と自分の足をひもで結んで寝た。

二次被害がどのように起きたのかが明らかになった事件です。そもそもの問題は、学校側のいじめ対処のスキル不足です。そこには、生徒が苦しんでいるということを見て見ぬふりをした教師たちがいたのです。人間としてあまりにも冷たい対応です。さらに、「謝罪会」という名のもとに相手の糾弾を許してしまうというミスを重ねています。

「謝罪会」を開くのであれば、純粋に加害者が被害者に謝罪するだけの場になるように事前準備が必要です。事前準備とは、加害者および、加害者家族に対して、いじめの事実を伝え、何が間違っているのかを教え、導き、反省を促し、謝罪の必要性を加害者側に納得させる必要があるのです。そのようなことをせずにいきなり「謝罪会」を開けば「糾弾大会」になるのは当然だと言えます。

また、糾弾の場と化してしまったら、身を挺して、被害者を守るとともに、糾弾している者を諭してその場を収めること、それがその現場にいあわせた教師の責務です。現場に3人の教師がいて誰一人止めようとしなかったとは、ありえませんし、あまりにも情けない教師です。

いじめの対処の鍵は「早期発見・早期解決」ですが、キーマンは「教師」です。教育委員会等は、人格的にも立派で、いじめ解決スキルを持った教師を育成していただきたいものです。

冒頭にも述べましたが、9月1日をはさんでの期間、自殺する生徒が増える可能性があります。保護者はもちろん、教師の皆様には、いじめの二次被害を起こさないように学校内の連携を図っていただきたいと存じます。

保護者の皆様もなにか不安を感じましたら、ご遠慮なくご相談いただけると幸いです。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明

image by: Shutterstock.com

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