「AIが間違えるハズがない」は危険。平気で嘘をつく生成型人工知能の限界

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今や「時代の寵児」的扱いを受け、話題にならない日はないと言っても過言ではない生成型AI。その能力は近い将来人間を超えるとの意見もありますが、識者はどう見るのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』ではジャーナリストの高野孟さんが、様々な分野の専門家の論を引きつつ、生成型AIの本質を考察。さらにこの「技術」が本物のインテリジェンスにはなり得ない理由を解説しています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2023年8月28日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

生成型人工知能は本当に人間を超えるのか?/「人知の代わりには決してなりません」という西垣通の説に賛成する

生成型(Generative)人工知能(ArtificialIntelligence)の話題がネットはもちろんマスコミでも溢れかえっていて、英フィナンシャル・タイムズ(FT)も「熱狂は空前の盛り上がりをみせている」と少々呆れ気味である。グーグルやマイクロソフトなど時価総額1兆ドル超の巨大IT企業が「AIは電気や火の発見に匹敵するようなものだと囃し立て」つつ、先頭を切ってその世界にのめり込もうとしている。米コンサルタント会社のマッキンゼーの試算では「AIは……63分野で年間2.6兆~4.4兆ドルの経済価値をもたらす可能性がある」とされるが、この額は21年の英国のGDP3.1兆ドルに匹敵する(FT8月17日付→日経23日付)。

このようなバラ色の夢が膨らむ一方で、米ハリウッドの俳優や脚本家たちが「待遇改善」と同時に「AIに仕事を奪われることへの懸念」を理由に7月中旬からストライキに突入し、今なお解決の目処が立っていないことが示すように、AIそのものに対する恐怖感や頭からの拒絶論もまた広がっているが、私の意見ではそのどちらも極端に走りすぎている。

確かに生成型AIは、注文に応じて膨大なデータを収集してそのパターンを分析し、それらしい文章、画像、音声、音楽、動画などのコンテンツを生み出して見せてくれるけれども、それはどこまで行っても「それらしいだけの擬似コンテンツ」であることを免れない。その生成型AIの本質を踏まえた上で、この便利な新技術をどう使いこなすかについての人間の知恵の発達が遅れていることの方が問題なのである。

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