なぜ、ハーレー・ダビッドソンは倒産寸前から這い上がれたのか?

St. Petersburg, Russia - August 8, 2017: Motorcycle Harley Davidson. Motorcycle tank.
 

3.ハーレーのマキシマーケティング

ハーレー・ダビッドソンは、1903年にダビッドソン家の裏庭の小屋から始まりました。1992年の同社の超大型オートバイ市場シェアは、68%です。スゴイですね。

しかし、大変な目にもあっています。市場シェアが拡大したためでしょう。1980年代の初めに、品質の低下で売上を落とし、倒産寸前の状態に陥ります。

その事態を救ったのがマーケティングです。カスタマーリレーションシップを作り上げることに成功しました。その最たる活動が「ハーレー・オーナーズクラブ」です。1993年には会員数は世界で20万人となります。SNSの盛んな現在からすると大した数ではありませんが、当時としてはスゴイ数です。

初年度の会員費は無料。2年度以降の会員費は35ドルです。現在のレートにしても5,000円そこそこですから、決して高くはありません。年間、10億円の会費収入が得られます。

会員特典は、以下のようなものです。

・ABCツーリング:違った町や場所を訪れるとポイントがたまり、ポイントによってオリジナルのピン、帽子、バンダナがもらえる
・緊急ピックアップサービス:自宅から50マイル以上離れたところでの牽引サービス
・フライ・アンド・ライド:何カ所かのツーリングセンターで、ハーレーを借りられる
・HOGトラベルセンター:飛行機や車のレンタル、ホテルの予約をしてくれる
・マイレージメリットプログラム:決まった期間内での走行距離によって賞品がもらえる
・10年連続会員認定:継続して10年以上の会員には特別ワッペンが贈られる
・ツーリングハンドブック:ハーレー取扱店のある全市町村の地図やツーリング情報などがついたハンドブックがもらえる
・ホッグテイルズ:年6回発行される会員広報誌。イベントニュースや会員からの投稿など、面白い記事が掲載される

ものすごい量の特典ですね。これらの会員特典を実施するには、専任部署が必要でしょう。

その他、ハーレー・オーナーズ・クラブの会員とのミーティングを行って会員同士の交流に力を注いでいます。また、販売店とのミーティングも盛んで、その場にはハーレーの役員も参加し、現場の声を拾っているようです。「試乗会」も行われます。新製品への、顧客の意見を集めて製品に反映させようとするのが目的です。

ハーレー・ダビッドソンは、まだまだ多くの企画を用意して、お客様との関係を深く持とうとしています。これが、マキシマーケティング、つまり顧客満足の最大化を図る方法の一つです。

きっと、あなたにも参考になることがあるでしょう。ネットを使えば、より簡単に出来るかもしれません。ぜひ、お客様と強い友好関係を作り、将来にわたるお店のファンになってもらいましょう。

■今日のツボ■

・マキシマーケティングは、顧客満足の最大化を図る方法である
・「マルチメディア時代のマーケティング革命」には、12社の実例がある
・その分かりやすい事例として、「ハーレー・オーナーズクラブ」がある

image by: Alex Erofeenkov / Shutterstock.com

梅本泰則この著者の記事一覧

ワン・トゥー・ワンコンサルティング代表。スポーツ用品業界での経験と知識を生かし、業界に特化したコンサルティング活動を続ける。
スポーツ用品業界在籍33年の経営コンサルタントが、スポーツショップの業績向上法について熱く語ります。スポーツショップのために書かれた、日本初のメルマガです。ここには、あなたのお店がかかえている問題を解決するヒントがいっぱいです。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ! 』

【著者】 梅本泰則 【発行周期】 週刊

print
いま読まれてます

  • なぜ、ハーレー・ダビッドソンは倒産寸前から這い上がれたのか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け