3.ハーレーのマキシマーケティング
ハーレー・ダビッドソンは、1903年にダビッドソン家の裏庭の小屋から始まりました。1992年の同社の超大型オートバイ市場シェアは、68%です。スゴイですね。
しかし、大変な目にもあっています。市場シェアが拡大したためでしょう。1980年代の初めに、品質の低下で売上を落とし、倒産寸前の状態に陥ります。
その事態を救ったのがマーケティングです。カスタマーリレーションシップを作り上げることに成功しました。その最たる活動が「ハーレー・オーナーズクラブ」です。1993年には会員数は世界で20万人となります。SNSの盛んな現在からすると大した数ではありませんが、当時としてはスゴイ数です。
初年度の会員費は無料。2年度以降の会員費は35ドルです。現在のレートにしても5,000円そこそこですから、決して高くはありません。年間、10億円の会費収入が得られます。
会員特典は、以下のようなものです。
・ABCツーリング:違った町や場所を訪れるとポイントがたまり、ポイントによってオリジナルのピン、帽子、バンダナがもらえる
・緊急ピックアップサービス:自宅から50マイル以上離れたところでの牽引サービス
・フライ・アンド・ライド:何カ所かのツーリングセンターで、ハーレーを借りられる
・HOGトラベルセンター:飛行機や車のレンタル、ホテルの予約をしてくれる
・マイレージメリットプログラム:決まった期間内での走行距離によって賞品がもらえる
・10年連続会員認定:継続して10年以上の会員には特別ワッペンが贈られる
・ツーリングハンドブック:ハーレー取扱店のある全市町村の地図やツーリング情報などがついたハンドブックがもらえる
・ホッグテイルズ:年6回発行される会員広報誌。イベントニュースや会員からの投稿など、面白い記事が掲載される
ものすごい量の特典ですね。これらの会員特典を実施するには、専任部署が必要でしょう。
その他、ハーレー・オーナーズ・クラブの会員とのミーティングを行って会員同士の交流に力を注いでいます。また、販売店とのミーティングも盛んで、その場にはハーレーの役員も参加し、現場の声を拾っているようです。「試乗会」も行われます。新製品への、顧客の意見を集めて製品に反映させようとするのが目的です。
ハーレー・ダビッドソンは、まだまだ多くの企画を用意して、お客様との関係を深く持とうとしています。これが、マキシマーケティング、つまり顧客満足の最大化を図る方法の一つです。
きっと、あなたにも参考になることがあるでしょう。ネットを使えば、より簡単に出来るかもしれません。ぜひ、お客様と強い友好関係を作り、将来にわたるお店のファンになってもらいましょう。
■今日のツボ■
・マキシマーケティングは、顧客満足の最大化を図る方法である
・「マルチメディア時代のマーケティング革命」には、12社の実例がある
・その分かりやすい事例として、「ハーレー・オーナーズクラブ」がある
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