ゆったりとした動きで高齢者も取り組みやすい「太極拳」は、精神状態の改善が期待される様々なデータがあり、高齢者の転倒防止にも効果的とされ、多くの国で注目されています。今回のもりさわメンタルクリニックの無料メルマガ『精神医学論文マガジン』では、そんな太極拳と記憶などの活動を組み合わせたときに認知機能が改善するか調査した研究を紹介。太極拳の新たな可能性を伝えています。
認知障害に対する太極拳の効果
認知症の予防に、様々な種類の運動習慣を維持することが重要とされています。今回は、太極拳(特に認知機能を重視した“認知強化太極拳”)が認知障害の改善に有効か調べた研究をご紹介します。
軽度認知障害を伴う65歳の対象者を3つのグループ(認知強化太極拳:105人、標準の太極拳:107人、ストレッチ:106人)に振り分けて、24週間実施し、効果を確認しました。
※ここで認知強化太極拳は、太極拳と記憶などの認知機能改善のための活動を組み合わせた方法を意味します。
結果として、以下の内容が示されました。
- 3つのグループの中で、認知強化太極拳が最も認知機能の改善を示していました(尺度として用いたMontreal Cognitive Assessment scoreで、3.1ポイント改善)。
- ストレッチを行ったグループでは、改善を認めませんでした。
- 開始から24週でプログラムは終了しましたが、48週後でも効果は維持されていました。
要約:『太極拳(特に認知改善の活動を組み合わせたもの)は認知機能の改善に有効である可能性がある』
太極拳については精神状態の改善に様々なデータがあり、今回は認知機能改善の活動と組み合わせた時の効果の確認ができました。
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