中国「50万円EV」が販売不振に。終焉を迎えた格安EVブーム…いま隣国で何が起きているのか?

Shanghai,,China-april,25,,2021:,The,19th,Shanghai,International,Automobile,Industry
 

2020年夏に販売が開始されるや、廉価グレードで50万円を切る低価格が話題を呼び爆発的な売れ行きを記録した、中国のEV「宏光MINI EV」。その後の小型EVブームの火付け役となった同車ですが、現在極度の売れ行き不振に陥っているといいます。一体何が起きているのでしょうか。日刊で中国の自動車業界情報を配信するメルマガ『CHINA CASE』では今回、その原因を詳しく解説。さらに中国における自動車業界の最新トレンドを紹介しています。

中国で一世風靡した「格安EV」が終焉へ。月に7.3万台も売れたブランドが1.5万台程度に

中国地方国有OEM五菱(Wuling。実際は上汽GMとの合弁)が発表し、一世を風靡した格安EV「宏光MINI EV」の販売が低調を継続している。

2022年12月、単月で実に7.3万台の販売を記録したが、足元の月販はわずか1.5万台程度に沈んでいる。

Wulingもこれを見越してか、一回り大きい小型HBのBEV「五菱繽果」を発売、やはり月販1.5万台程度を記録しているが、「宏光MINI EV」と合計しても3万台程度、「宏光MINI EV」の最盛期の半分にも満たない。

何が起こっているのか?

ミニ市場が衰微

まず、中国の新エネルギー車(NEV)におけるミニ市場が急速に萎んでいる。2023年1-9月、中国におけるNEV販売は前年同期比30.5%増の545.3万台。

これに対して、ミニ市場は実に同55.2%減。気軽な足代わりとして爆発的に成長したNEVミニ市場だが、やっぱり小さすぎる、機能が少ないなどが足かせになった可能性がある。

また、「宏光MINI EV」の人気ぶりに、各社が一斉にこの市場になだれ込んだことも大きい。

低速EVから転換した泡沫数社はともかく、大手でも長安「Lumin」、吉利(Geely)「パンダMINI」、奇瑞(Chery)の新型「QQアイスクリーム」など競争が激しすぎる。

売れ筋市場に乗り換え

今の売れ筋は小型BEVで、BYDの「イルカ」「カモメ」などがよく売れている。以上のNEVミニ市場の諸環境と売れ筋の変化を見越して、2023年3月に発売開始したのが「五菱繽果」だ。

このあたりはさすがのWuling、先見の明があった。しかし、全く売れない不人気車、とは言えないものの、「イルカ」、その後に「カモメ」を出したBYDの前に、この市場では全く歯が立っていないのが現状だ。

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