大企業病に罹患した「Google」の変貌ぶり。使命感があった頃の古き良き“真の姿”とは

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1998年に設立され25年、今や「現代の神」とまで称されるに至ったグーグル。しかし昨今、同社が「大企業病」に陥っているとの指摘が聞かれるのもまた事実です。なぜグーグルは変容してしまったのでしょうか。今回のメルマガ『『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~』では、『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』等の著作で知られる辻野さんが、その原因を探る第一歩として、グーグルに18年間在籍していたエンジニアのブログ記事に解説を加える形で、大企業病に「罹患」する以前の、古き良きグーグルの真の姿を紹介しています。

古き良き時代のグーグルとその後「大企業病」に苛まれて変容するまで

今回は、グーグルに2005年10月から2023年11月までの18年間勤めたソフトウェアエンジニアのブログ記事を取り上げます。イアン・ヒクソンという人で、私は面識ありませんが、HTML5の仕様策定やオープンソースのマルチプラットフォーム開発のフレームワークであるFlutterのプロジェクトなどに携わった人のようです。

本メルマガでも以前にお話ししましたが、「Don’t be evil(邪悪になるな)」に代表される行動規範を大切にしてきたグーグルの企業文化が変容していく様子や、グーグル上層部に対する痛烈な批判を自身のブログで公開しています。

辞めた人が書いたものなので、多少なりとも割り引いて受け止めねばならない面はあるものの、18年という長期にわたって在席する人も珍しく、古き良きグーグルが大企業病に苛まれて変貌していく様子が伝わってきて、私にとってもショッキングな内容です。

記事原文は以下になりますが、全体をできるだけわかりやすく意訳しながら、適宜コメントを挿んでみたいと思います。

Reflecting on 18 years at Google

私は2005年10月にグーグルに入社し、18年後に辞表を提出しました。先週がグーグルでの最後の週でした。

 

初期の株式公開後のグーグルを経験できて非常に幸運だと感じています。多くの企業とは異なり、一般的な語り口とは逆に、末端の従業員から経営幹部まで、グーグルの社員は本当に正しいことを重視する良い人たちでした。よく嘲笑された「Don’t be evil」は、その当時の会社の指針であり、本当に機能していました(主にマイクロソフトなどの同時代の企業が、顧客と人類全体の最善の利益よりも自己の利益を優先した経営をしていたことに対する反動でした)。

辻野コメント:私が在籍した当時も同じ印象で、実際に社内では「Don’t be evil」というフレーズをよく耳にしました。プロダクトに些細な変更を加えるような時にも、常に「この変更は本当にユーザーの為になるのか」「グーグルとして間違っていないか」というようなことが徹底的に議論されましたし、利益第一主義ではなく、常にユーザーの利便性やウェブの世界を進化させることに関心と優先度が置かれていました。

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