創価学会員こそが騙された。私欲で「平和を捨てた」池田大作名誉会長という人間

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創価学会名誉会長の池田大作氏が11月15日に亡くなったことが明らかになり、さまざまなメディアで人物評論がなされています。その一つ、『創』2024年1月号で氏の「負」の側面を明らかにしたのは、評論家の佐高信さんです。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では、同じ『創』の中で池田氏と創価学会を持ち上げた佐藤優氏の評論を取り上げて違和感を表明。池田氏が自身への国税の査察を逃れるために「平和を捨て」て、学会員から抗議が殺到した出来事について記しています。

池田大作にだまされた人たち

『創』の2024年1月号に佐藤優と私の対照的な池田大作論が載っている。佐藤はそこで、宗教学者の島田裕巳を例に挙げながら、「池田氏の死去によって創価学会に大混乱が生じるという宗教学者には創価学会の強靭さが理解できていないように思える」と言う。

「池田氏は10年以上かけて自らが死亡した後について戦略を練り、システムを整えていた」のだとか。佐藤優の結びはこうである。「池田氏逝去という悲しみを乗り越え、創価学会会員は世界宗教への道を歩んでいくと筆者は見ている」

「世界宗教」ねえ。これを読んで私は、高校生時代のあることを思い出した。卓球の県大会で、山形から少し離れた宮内町に泊まった。人口もそんなに多くない町である。そこに「世界旅館」という名前の宿があって、私たちはそこに泊まったのだが、いかにもその名はその町にそぐわなかった。あの違和感、居たたまれないような恥ずかしさを私は思い出したのである。佐藤は本当にそう思っているのだろうか。

私は個人情報保護法案をめぐって、同学年の池田と城山三郎が対立したことを書いた。自分のスキャンダル報道を止めようとして、この法案を推進した池田と、言論の自由に死をもたらすとそれに反対した城山という構図である。かつて創価学会内部でマジメに論じられた「池田大作ミイラ化計画」にも触れた。

私は『日刊ゲンダイ』のオススメ本では、池田および創価学会のボディーガードだった山口組傘下の後藤組組長、後藤忠政の『憚りながら』(宝島社文庫)を、池田理解のための必読書として挙げたから、現会長の原田稔らはさぞ怒っているだろう。

『自民党と創価学会』(集英社新書)や『池田大作と宮本顕治』(平凡社新書)を書いて学会のことはかなり知っていると自負していた私も、矢野絢也の『乱脈経理』(講談社)には驚いた。

読み逃していたのだが、池田の個人資産に査察が及ばないように、公明党の委員長だった矢野が国税庁長官や幹部に直接働きかけるのである。国税庁つまり大蔵省(現財務省)も法案の国会通過などで公明党に依頼したりするため、無下にも断れない。

この本の副題は「創価学会vs国税庁の暗闇ドキュメント」だが、1億7千万円の現金が中から出てきた「捨て金庫事件」とか、15億円もの不明金が発覚した「ルノアール絵画事件」とか、いずれも学会がからんだ事件が起きて、池田という聖域を守りにくくなる。

そこで考えられたウルトラCが、公明党のPKO協力法案への賛成だった。これで自民党に恩を売り、竹下登が動いて、国税の査察はストップしたというのである。この法案は自衛隊の初の海外派遣につながるものであり、それに賛成した学会本部や公明党には強行採決に学会員から抗議の電話が殺到した。つまり池田の都合で、この時、平和は捨てられたのである。

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