なぜ海外は「日本人の危機突破力」に驚嘆するのか?能登地震で再認識された節度と忍耐、不撓不屈のニッポン精神

20240111shinagawa-japan_eye
 

懸命の救援活動が続く令和6年能登半島地震。反日感情が根強い中国ではアナウンサーが「報い」と報じ、SNS上でも日本の不幸を喜ぶ声が相次いだことは前回の記事でお伝えしたとおりです。しかしそのうえで、「世界に目を向ければ、被害を最小限にとどめるための日本の努力を称賛している国のほうがむしろ多い」と指摘するのは、台湾出身の評論家・黄文雄さん。「日本はすごい」と褒められても素直に喜べない方にこそぜひご一読いただきたい、海外からのリアルな評価をご紹介します。(メルマガ 黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」より)

なぜ台湾からの募金はいつも“巨額”なのか

地震被害の実態が明らかになるにつれ、世界各国からも支援を呼びかける声が大きくなってきています。

とりわけ、台湾でも今回の能登半島地震については早くから大きく報道され、台湾政府は6000万円の寄付を発表しましたが、これ以外に、民間からは1月5日から7日までの3日間で4億円近くの寄付金が集まりました。

能登半島地震 台湾市民からの義援金 3日間で4億円に

東日本大震災のときも、台湾は220億円という、世界一多額の義援金を寄付しましたが、それだけ台湾人にとって日本は特別な存在だということの現れでもあります。

前回のメルマガでは、中国人アナウンサーが能登半島地震を「報い」だと発言したことや、中国のネットで日本の不幸を喜ぶ声が多数上がったことについて紹介しましたが、こういう点からも、中国人と台湾人はまったく別の人種だということがわかります。決して「同じ中華民族」などではないのです。

台湾政府の外交部長は「日本有事は台湾有事だ」と発言しましたが、これは言うまでもなく、安倍元首相の「台湾有事は日本有事だ」を意識したものであり、日本と台湾が価値観や危機意識を共有し、「日台はともにある」ということを改めて示しました。台湾では、日本にすらない安倍元首相の銅像が建てられています。

世界が称賛する「日本と日本人の底力」とは?

多くの海外のメディアが被災した現地に入り、被災者の苦境を伝えていますが、その一方で、被害を最小限にとどめるための日本の努力についても称賛しています。

産経新聞の報道では、イギリスのBBCは「被災のたびにこの国は学び、規制を改めた」と報じ、フランスのリベラシオン紙は日本の耐震基準を「世界で最も厳しいもの」と評価し、Jアラートについても「非常に効果的だ」と称えたそうです。

能登地震、世界が報道 欧「地震のたびに学んだ国」 台湾「日本人の節度と忍耐」 中韓は原発リスクを警戒

また、台湾の中央通信社は、七尾市を取材した記者が、家屋の倒壊状況に衝撃を受けたとしながらも、復旧作業を整然と行う様子に、「日本人の節度と忍耐強い性格」を感じたとも報じています。

1月2日に羽田空港で起こった日本航空機と海上保安庁の航空機の衝突事故についても、JALの乗員乗客全員が無事に避難できたことについて、海外では「羽田の奇跡」として称賛されています。

しかし私は、これは単なる偶然が起こした奇跡ではなく、日本人だから可能だった「必然」だと思います。

米、乗客全員の脱出称賛=海保隊員の死亡に弔意

危機や困難に遭遇した際の日本人の対応は、外国人にとって驚嘆すべきものだということを、今回の災害でも改めて世界が知ったということなのでしょう。東日本大震災のときも、日本人が協力しあって整然かつ黙々と対処する姿が世界で大きく報じられました。

卓越した「危機突破能力」は日本の伝統

じつは、困難に直面したときの日本人の態度に対する世界からの賞賛は、ここ近年に始まったわけではありません。ずっと以前から、驚きをもって伝えられてきたことなのです。そのことは拙著『日本人はなぜ世界から尊敬され続けるのか』にも詳しく書きましたが、一部を紹介しながら解説しましょう。

たとえばフランスの劇作家、詩人として知られ、また1921年から1927年まで駐日フランス大使を務めたポール・クローデル(姉は著名な女性彫刻家のカミーユ・クローデル)は、1923年に起きた関東大震災も経験しており、その際の市民の落ち着きぶりや冷静さを次のように評しています。

「地震の日の夜、私が東京と横浜の間を長時間歩いているとき、あるいは生存者たちが群れ集まった巨大な野営地で過ごした数日間、私は不平一つ聞かなかった」

「廃墟の下に埋もれた犠牲者たちの声も『助けてくれ! こっちだ』というような差し迫った叫び声ではなかった。『お願いします』という慎ましい懇願の声だった」(「炎の街を横切って」『朝日の中の黒い鳥』内藤高訳、講談社学術文庫 所収)

同じようなことは、幕末に来航したペリー(1794~1858)も述べています。

print
いま読まれてます

  • なぜ海外は「日本人の危機突破力」に驚嘆するのか?能登地震で再認識された節度と忍耐、不撓不屈のニッポン精神
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け