もしコンビニ店員なら「プリンを2つ買った客」にどう対応するのが“正解”か?

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さまざまな研修に参加することはもちろん大切ですが、実は日常にこそ最高の研修になる機会がたくさんあるようです。メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』の著者で現役小学校教師の松尾英明さんは今回、「日常を“研修”にしてしまう方法」について語っています。

人間力を磨く「最高の研修」とは?

とある企業の管理職の方とひょんなことからご縁ができ、その企業の方々を学校にお招きしての研修を受ける機会に恵まれた。棚から牡丹餅の幸運であり、勿体無いことなので、学びの備忘録も兼ねてこちらへシェアする。

一つの問いかけや事象に対し、どう対応するべきかという話があった。

例として「落ちているごみをどう拾うか」というごく些細な状況を考えてみる。

もし何らかの清掃活動中で、敷地内にごみが落ちていれば、当然拾うだろう。しかしその時、しゃがんで拾うべきか、そうでないかというのは、考えるべきところである。もし人混みの中、多方向に人々が行き交うような場所であれば、しゃがむのは得策と言えない。極端な話、渋谷のスクランブル交差点のど真ん中でしゃがむような状況を考えれば、次のようになる。

しゃがむことで他者の視界から消える→自分が他者にとっての障害物になる→危険

こう考えた時、「安全」を最優先するのであれば、しゃがまずに立ったまま拾う手段を講じる必要がある。柄の長いタイプのちりとりと箒を使うとか、長いトングを使うとか色々ある。ごみを拾う程度の短い時間ならばまだしも、こぼれたものを拭くなどの少し時間のかかる作業であれば、尚更しゃがまない方がいい。また、拾うこちら側の腰が悪いという状況があれば、環境がどうであってもしゃがまない手段をとる方がいいだろう。

つまり、正解は、時と場所、自分と相手の関係などの、あらゆる状況によって変化するという。ここを考えて実行できることが肝である。

「常識」「マニュアル」を基本の拠り所としながらも、そこに状況に応じて必要な変化を加えること、と解釈した。

身近な「コンビニ」で例えると?

例えば自分がコンビニの店員だとする。客がゼリーやプリンを買っていれば、当然「スプーンはお付けしますか」と尋ねるだろう。これは「常識」「マニュアル」レベルの話である。基本的にはこれでいい。

しかし一方で、これが常連さんで毎日同じプリンを2つ買ってスプーンを付けると知っているとする。「スプーンを2つ入れておきます」とこちらから言う手もある。何も言わずに2つ入れておく手もある。もうよく知った顔でお喋りが好きそうな相手であれば、笑顔で「これ、美味しいですよね」と一言声をかけることもあり得る。

こういったことはホスピタリティ、おもてなしの精神である。どれが「正解」かは分からないものの、今までの知識と経験を総動員して、最大限に心と頭を使って配慮し、手を使って実行するのである。

ずっと以前にこのメルマガで書いたことだが、1リットルの牛乳を(珍しく)コンビニで購入した際に「ストローをお付けしますか」ときかれて、びっくりしたという話を書いたことがある。

更にしばらくしてから、またびっくりした。実際に高校生たちがコンビニの前で1リットル紙パックのコーヒー牛乳その他を、ストローで飲んでいるのを見たからである。

つまりその時は店員の対応を「非常識」だと感じたが、実は配慮だったのかもしれないのである(1リットルをストローでいける若者と「同類の健康人」と見なしてもらえたと思えば悪くない。)ただ、こちらとしてはあまり有難くはなかったので、まあ失敗だったともいえる。その「失敗」は今後の改善のための材料にしていけばよいのである。

こういった「最適解」を求める一連の作業について、

ためる(知識・経験)→使う(実行)→考える(洞察)

という三角形のサイクル図で示されていた。

心の知能指数(EQ)を高めるサイクルであるという。これを、日々、常々心がけることが大切だという。つまりは「日常」こそが、レベルアップのための基本である。

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