デヴィ夫人が文春関係者を刑事告訴も「1700万円持ち逃げ」は問題の本質にあらず?双方の主張を対比して分かった“重要ポイント”

2024.02.28
by kousei_saho
t20240228
 

『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)など数多くのバラエティ番組に出演し「奔放キャラ」で知られるタレントのデヴィ夫人84)。そんな彼女が27日にインスタグラムを更新し、昨年、自身のスキャンダルを報じた『週刊文春』の関係者らを名誉毀損及び信用棄損で刑事告訴したことを明らかにした。

デヴィ夫人が問題視したのは、『週刊文春』の「《イッテQから追放危機》デヴィ夫人か゛モナコ慈善団体から1700万円を持ち逃げ」という記事の内容。

文春によるとデヴィ夫人は23年5月まで一般社団法人「アミチエジャポン(以下 アミチエ)」という慈善団体の代表理事を務めていたというが、団体所在地の自身の別邸への移転、「アミチエ」団体名の商標登録の個人出願など、アミチエの私物化に動いていたという。これに対してデヴィ夫人は、団体を乗っ取ろうとしたことも私物化しようとしたこともないと反論している。

さらに文春は、23年1月にデヴィ夫人が、1,788万円の残高があるアミチエ団体名義の通帳や印鑑を持ち逃げ”し、再三の返還要求にもかかわらず「返却いたしません」と弁護士を通じて返答したとも報道。これに対してもデヴィ夫人はインスタグラムで「1700万円を持ち逃げしたことも一切ございません。逆に私は、AMITIEに1100万円以上の金員を寄付しております」と全否定している。

ほかにも文春は、23年1月にデヴィ夫人がウクライナを訪問した際の渡航費用や物資輸送費現地での食費などをアミチエに請求したが、同団体は事前にウクライナ渡航を知らされておらず、あくまで夫人の単独行動だったため、団体理事らが苦肉の策として物資輸送費335万円の支出を認めたという「デヴィ夫人による資金の私的流用問題」を伝えているが、今回この部分に対応する反論はなされていない。


元政治家タレントもデヴィ夫人にエール

そんなデヴィ夫人の「文春刑事告訴」を受け、ネットユーザーは大きく反応。

《夫人良くやってくれた文春の書き得を許すな》

《いいぞ、徹底的にやってくれ!》

《週刊誌だけが儲かる構図を壊してほしい》

《さすがデヴィ夫人、文春の廃刊を祈る》

《週刊誌のあり方を変えられるのはデヴィ夫人しかいない!》

等といった書き込みが溢れ、ネット世論は「デヴィ夫人の優勢」となっているようだ。東国原英夫氏(66)も自身のX(旧Twitter)こんなポストを投稿した。


デヴィ夫人「極めて悪質」週刊文春関係者らを刑事告訴したと報告、併せて昨今の週刊誌報道を厳しく批判「報道の自由に名を借りた言葉の暴力」(中日スポーツ)→今後、客観的に、飽くまで中立的にウォッチして行きたい。個人的には、「デヴィ夫人、頑張れ!」である。

東国原氏はサッカー日本代表の伊東純也選手(30)が刑事告訴された際にもユーチューブチャンネルで声を上げ、大炎上している。

【関連】伊東純也「性加害疑惑」で東国原英夫氏が大炎上のナゼ。「虚偽なら大変なこと」指摘も“弁護士ハシゴ状態”に世間は注目

それでもデヴィ夫人にエールを送ったのは、週刊誌報道に対する“思うところ”があったためなのだろうか。

元祖セレブタレントの旧名は根本七保子

東京の西麻布に生まれたデヴィ夫人ことラトナ・サリ・デヴィ・スカルノの旧名は根本七保子。赤坂の高級クラブの勤務を経てインドネシアに渡り、同国の初代大統領スカルノに見初められ1962年に第3夫人となる。そのため現在も国籍はインドネシアとなっている。スカルノ失脚後はフランスに亡命し、社交界では「東洋の真珠」と呼ばれていたという。

1970年代には日本で芸能活動を開始。「元祖セレブタレント」として人気を博すも、1992年にはアメリカでパーティ中に会話していた女性の顔面をシャンパングラスで殴りつけ大怪我を負わせ、傷害罪で34日間刑務所に収監されるという騒動を起こしている。

そんなデヴィ夫人といえば記憶に新しいのが、2019年にグランドプリンスホテル高輪を相手取り起こした高級毛皮の破損を巡る裁判だ。かつて在京キー局のワイドショー制作に関わったことがあるという50代のテレビ関係者はこう話す。

「17年に夫人がグランドプリンスホテル高輪で行われたクリスマスパーティを訪れた際、クロークに預けた4,000万円もするという超高級毛皮のコートをホテル側が破ったとして訴えた裁判は、当時ワイドショーでも大々的に取り上げられました。結局、東京地裁に『預かる前から破損していた』というホテル側の主張が認められて、夫人が完敗した形になりました」

そんなデヴィ夫人が今回提訴した刑事訴訟だが、ことはそう簡単ではない。

「カネの持ち逃げ」とは別のところにある問題の本質

まず注目したいのは、「1700万円を持ち逃げ」という『週刊文春』の記事に含まれるワード。この表現は、金銭的に困窮したデヴィ夫人が、アミチエの金庫から1,700万円の札束を鷲掴みにしてそのまま逃亡したというイメージを抱かせるものでもある。事実、ネット上でもこんな反応が散見されている。

《仮にも一国の大統領夫人だったデヴィ夫人がそんな“はした金”を持ち逃げするか?》

《テレビにあれだけ出てればギャラだって相当なものだろうし1700万円なんて大した金額じゃないだろ》

《美川憲一も「芸能界で真面目に働いていれば簡単に家の1軒や2軒は立つ」って言ってたから、そんなおいしい世界を追われるリスクを1700万で犯すかね?》

これについて以下のように指摘するのは大手週刊誌にも執筆経験を持つ50代の男性ライターだ。

「文春さんの記事を冷静に読んでみれば、論点としているのは“慈善団体の私物化”や“慈善事業との関係性が疑わしい活動への費用捻出”だと思うんですよ。そういう疑いがあるというデヴィ夫人が、団体名義の通帳や印鑑などを持ち去ったということが報じられているわけですから、きちんと記事を読み込めば、『はした金の持ち逃げ』という見方は、また違ってくると思いますね」

さらにこう続ける。

「折しも今、国会議員の政策活動費の使い道や脱税が話題になっています。さらに例えばサラリーマンが会社の業務と関係のない支出を経費精算すればそれは不正になりますし、私のような個人事業主が単なる遊興費を経費に計上することは認められません。それと同じく、慈善活動を目的とした一般社団法人のアミチエさんが、組織として正しい支出を図るのは当然です。ゆえに、デヴィ夫人が団体の通帳や印鑑を個人的に持ち出しているのは問題とされてもおかしくないとも言えますし、ウクライナへの物資輸送費を団体が出したのも適切だったのかという点が問われても不思議ではないとも思えます」(同前)

文春サイドの続報によれば、アミチエは銀行と交渉し、通帳の再発行を受けることができたという。しかしながら、未だ帳簿や印鑑はデヴィ夫人のもとにあるとも伝えている。

【関連】デヴィ夫人(83)モナコ慈善団体から「持ち逃げ」した1700万円が返還されていた 理事に対して「口座も作れない人達」と逆ギレ告発も

デヴィ夫人が問題視した記事のタイトルは、確かにミスリードと受け取られても仕方がないものかもしれない。しかし男性ライターが指摘するように、今回の騒動の本質は「カネの持ち逃げ」とは別のところにあるとは言えないか。

「いずれにしても今回は民事訴訟による損害賠償請求ではなく刑事告訴です。場合によっては訴えられた側、つまりは文春さんの関係者が逮捕される可能性もゼロではありません。誰に非があるのかは捜査の進展を見守るほかありませんが、少なくとも現時点で『デヴィ夫人が圧倒的有利』という認識は甘いのではないでしょうか」(同前)

繰り返しになるが、デヴィ夫人はインスタグラムで「1700万円を持ち逃げしたことも、一切ございません」としているが、帳簿や印鑑持ち出しやウクライナへの物資輸送費についての言及はない。

「テレビのど真ん中」にいる人間の週刊誌批判に説得力はあるか

以上ように、『週刊文春』の報道内容とデヴィ夫人の主張とを対比してみてわかるのは、実は彼女が報道された核心部分について何も反論していないという事実だ。さらにこのような指摘もある。

「デヴィ夫人は、報道機関が持つ権力やそれによる私刑を批判していますよね。あの箇所には違和感を抱きました」(40代の男性ネットメディア編集者)

確かにデヴィ夫人は、反論文の中で以下のように主張している。

一部の週刊誌が強い権力を持ち、一般の方が週刊誌に情報を提供し、週刊誌が他方当事者である著名人の言い分を公平に載せることなく著名人を貶め、社会から抹殺している事象が、多数見受けられます。

「週刊誌はメディアとしてはあくまで亜流であって、テレビこそが最大権力を握っています。夫人は自分自身がそちら側の人間ど真ん中であることを巧妙に隠しているように読めるんですよね」

未だテレビが大きな影響力をもっているのは否定できない事実。そのテレビの世界で生きている自分を、あたかもメディアの被害者のように語るのは巧妙な手口と言えるのかもしれない。

「そんな夫人に『頑張れ』と言っている東国原さんもテレビ側の人間ですし、何かしっくりこないものがあります。過去、芸能人は一方的に上から物を言えましたが、SNSの登場で今は一般の方も発言力を持つようになりました。そんな時代に芸能人が報道機関による誹謗中傷に物申す、といえば聞こえはいいですが、私は彼らの特権意識や言論統制につながる動きこそ警戒すべきだと思っています」(同前)

事実、デヴィ夫人がインスタを更新した途端に声を上げた東国原氏。この事自体が、テレビやデヴィ夫人の“特権性”を如実に示しているという見方は説得力がある。

上述の「毛皮のコート訴訟」では敗北したと言ってもいいデヴィ夫人。週刊誌と戦争するのは個人の自由だが、スカルノ元大統領第3夫人としてのプライドをもって、「自分自身の個人トラブル」と「社会問題」をはっきりと分けて処理していただきたいものである。

print
いま読まれてます

  • デヴィ夫人が文春関係者を刑事告訴も「1700万円持ち逃げ」は問題の本質にあらず?双方の主張を対比して分かった“重要ポイント”
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け