「有事だョ! 全員集合」悪ノリ陸自練馬駐屯地が大炎上。謎の「ダサすぎ怪ポスター」を徹底解読

2024.03.18
by kousei_saho
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3月14日の午前8時に陸上自衛隊 第1師団の公式X(旧Twitter)やFacebook等に突如投稿されるや燎原の火のごとく拡散し、現在大炎上状態となっているこんなポストをご存知だろうか。※元投稿が削除されたため、著作権法第32条第1項に基づき引用いたします。

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陸自第1師団創立62周年練馬駐屯地創設73周年記念行事の開催を告知するものなのだが、『8時だョ!全員集合』のパロディであることは辛うじて分かるものの、全般的デザインのクオリティは低いことこの上なく、何を伝えたいのかが不明にすぎると言わざるを得ない。ひとつだけ伝わってくるとすれば、自衛隊の使命と責任にそぐわない悪ふざけをやらかしたという点だけで、いわばこのポスターは「怪文書」の類ではないだろうか。

となればここは、経済崩壊と食糧危機を警告する「千円札の謎」を解明するために結成されたばかりの、MAG2NEWS特異現象捜査部は今回、この「怪ポスターの謎」を徹底解明してみたい。

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「13.2%」は何を意味する数字なのか

ポスターの中でひときわ目を引くのが、「13.2%」という謎の数字だ。これは一体何を指しているのだろうか。

列挙することも不可能なほど積み重なった不祥事で、低下の一途を辿る岸田政権の支持率だろうか? いや違う。毎日新聞が3月16~17日にかけて行った全国世論調査では岸田政権の支持率は17%だった。同社2月の調査で過去最低となった数字にしても14%だったため、ポスター内の数字には当てはまらない。

では開幕9連敗を含む3勝16敗1分に沈んでいたプロ野球セ・リーグ阪神タイガースの2022年における20試合を終えた時点での勝率か? いや違う。計算すれば分かるが「0.158」、パーセンテージにすれば15.8%となりポスターに書かれている数字よりは上だ。

はたまた入手困難な幻の日本酒として名高い「十四代 龍泉」のアルコール度数か?いや違う。こちらは15~19%とされ、やはり13.2%よりは高い。

どうやらこれは、世界数十カ国の大学や研究機関が各国国民の意識を調査した「世界価値観調査」の、「もし戦争が起こったら国のために戦うか」という問いに対して「戦う」と答えた日本人が、調査国中最低のわずか13.2%にとどまったという数字をフィーチャーしているようだ。

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で、あるならばはっきりとそう記してくれなければ、周辺住民は「ただ記されているだけ」の謎の数字に恐怖心を抱くだけだろう。自衛隊のポスターだけに、「有事の際には基地周辺人口の13.2%しか助かりませんヨ」という意味と取られても致し方ない。

誰に何を訴求している?皆目見当のつかないデザインの謎

「13.2%という数字の謎さ加減もありますが、デザインが壊滅的にダメですね。ポスターなどの基本は『情報を整理してわかりやすく伝える』というのがメインの役割なんですが、何も伝わってこないのです。しかも『有事だョ! 全員集合』って、これじゃあ『今が有事だから駐屯地に全員集まれ』ってことじゃないですか。恐ろしさが先に立ちますよね」

と語るのは、書籍の表紙や広告のアートディレクションを多く手掛けてきた50代のデザイナーだ。確かに「恐ろしさが先に立つ」という指摘は頷ける。これがもし運動会の告知ポスターだったら、中止になっていてもおかしくないだろう。そもそも銃後の国民をビビらせてどうするつもりなのか。

実はこの記念行事には、「全員集合」バージョンのほかにも、現在判明しているだけで4種類のポスターが存在する。その一つ一つについても前出のデザイナー氏に評価を仰いだ。まずは第1師団の公式HPに掲載されているこちら。

「中高一貫の男子校の文化祭ポスターかと思いましたよ。とっ散らかっていて何を訴えているのかまったく見えてこないですね。」

続いてはやはり多数のキャラクターが散りばめられているこのポスター。

「パッと見で町内会の<子ども会>か、区役所のロビーにあるリサイクルコーナーのポスターかと。さらに『ともに戦う あなたのできることから始める』というコピーらしきものも『記念行事』という文字も、色使いに難があって目に入ってこないですよね。ポスターの体をなしていません」

ではこちらはどうか。

「クラスいち絵の上手い女子が描いた修学旅行のしおりの表紙かと思いました。笑顔が怖いと言いましょうか…、あとは中央に横書きされている文字が読めないのはポスターとしてどうなのかと」

こういったライトなものもある。

「地方のマイナーな学習塾が手作りしたポスターみたいですね。雑居ビルの2階にある的な。こちらも圧倒的に字が読みにくいですね」

最後に、すべてのポスターについての総評を聞いてみた。

「どう受け止めていいのかわからないほどダサい、というのが共通点ですね。鉄道会社の職員が駅に設置している<手作りアート>の方が何倍もマシかと。最初の『全員集合』のポスターを見たときにもいいましたが、どれも『情報を整理して分かりやすく伝える』という基本ができていない印象です」

刮目せよ!戦前や戦時下のデザインの方がよっぽど優れている件

さらにデザイナー氏は、あくまで私見として、「良い悪いは別として、戦前や戦時下の戦意高揚ポスターのほうがデザイン面はよほど優れている」とも話す。それではとばかりにMAG2NEWS特異現象捜査部員が調査してみたところ、以下のようなものが発掘された。

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image by: 不明, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で

こちらは1940年前後のものとされる防諜ポスター。「日本精神」で「買溜め」や「個人主義」「共産主義」等を吹きとばせというメッセージが秒で伝わってくる。

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image by: Unknown author, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で

戦時標語としてあまりに有名な「贅沢は敵だ」と書かれた看板。タイポグラフィーとしても秀逸で、これ以上にない“伝わりよう”ではないだろうか。

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image by: Photographer: Ken Domon, Configuration: Y?saku Kamekura, Nippon Kobor, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で

そして、こちらは日本を代表する写真家の土門拳と日本グラフィックデザイナー協会初代会長を務めた亀倉雄策の手による、戦時中に発行された伝説のグラフ誌『NIPPON』最終号の表紙。今となっても色褪せない第一級のデザインと言っていいだろう。先の大戦の教訓は、デザインの面でもまったく活かされていないようだ。

自衛隊員にオタク人材が多いという事実

「意外なことに、自衛隊員には結構の数のオタク人材がいるというのも知っている人は知っている事実なんです」

そう話してくれたのは、自身もオタク文化に詳しいという40代の男性ネットメディア編集者だ。確かに以前、MAG2NEWS特異現象捜査部員もこんなXへの投稿を目にし仰天したという。そのポストは現在も確認できる。

某アニメキャラをふんだんに取り入れた模擬店。こちらもある意味「ギャップ萌え」の1つと言っていいのかもしれない。男性ネットメディア編集者が続ける。

「オタク自衛官というと『ガールズ&パンツァー』などを好み、『にしずみどのー』『れいぜいどのー』などとニチャつくタイプを想像するかもしれませんが、それはまた別の話です(笑)。ともあれオタクが一定数集まれば、そこには創造するオタク、つまりデザインやイラストの心得がある者も出てくるのが歴史的必然です」

少々大仰に聞こえはするが、それは大いに肯定できるだろう。

「実際、ネットで高い評価を受けた自衛官や元自衛官も作品も多数あります。検索すれば出てくると思いますよ」(同前)

その代表作が、元自衛官のToy(e)氏だろう。その作品のクオリティは高いなどという次元のものではない。

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自衛隊宮城地方協力本部のXには、現役自衛官の佐藤広報官が描いたチョークアートが紹介されているが、こちらも本格派だ。

「ですから、通常『有事だョ! 全員集合』みたいな低クオリティのポスターが世間に晒されるはずはない、というかありえないと思うんです。昨今は自衛官不足が問題視されていますが、その影響が“才能不足”という形で現れてしまっているのか。それとも件のポスターを制作した個人もしくはグループが、駐屯地内でも孤立しているヤバい連中なのか、なんて考えてしまいますね」(同前)

「全員集合ポスター」の“思想”が強すぎる謎

見る者の理解度などお構いなし、むしろ“ガン無視”してでも伝えたい思いがある、しかしそれを上手く伝えるだけの技術はない。『有事だョ! 全員集合』ポスターに漂うカルト臭、そして思想の強さは一体何なのだろうか。

40代のマスコミ関係者は以下のように分析する。

「『8時だョ!全員集合』を元ネタにするという発想は、若い自衛官にはないはずですよね。どうも老害の影響が見え隠れします」

日常会話やネタ出しで「全員集合」というワードが口をついて出るのはある一定の年齢以上ということは間違いなく、マスコミ関係者氏の「老害」という指摘は正鵠を射るものだろう。

そしてこのポスター、あまりに「意味不明味」が強く、そして「意味不明の怖さ」「何を言っているのかわからない怖さ」があるともマスコミ関係者氏は言う。

「『意味不明の怖さ』は、例えば皇位継承問題を取り上げたあるテレビ番組で、皇室の祖先神はアマテラスオオミカミではなくイザナギだと言い張り、挙げ句アマテラスオオミカミはご存命なんだと叫びだした政治評論家の竹田恒泰さんから感じる怖さと似ています」

確かにあまりに意味不明で怖い。「何を言っているのかわからない怖さ」についてはどうか。

「討論番組で統一教会の霊感商法を、『パチンコや競馬や酒も合法的に家庭を壊したりするので、実質、統一教会と同じようなもの』などと意味不明の論理で擁護する国際政治学者の三浦瑠麗さんに抱く怖さ、とでも言いましょうか」

こちらも大きく頷ける。そして何より怖いのは、「13.2%」の数字を持ち出してきていることだと同氏は話す。

「これはXに祖国のために戦わないという若者が増えたことを嘆く投稿をした、“国のために戦え”と言わんばかりのジャーナリストの櫻井よしこさんの姿勢と酷似していますよね。これが実はいちばん怖いポイントだと思います」

さらに上で名が上がった御三方はそれぞれ自衛隊に招かれ講話を披露していることが確認されている。おそらく無料でのボランティアではないであろう。さらに言えば旧統一教会との関係が取り沙汰されたこともなくはない。ポスターの「思想の強さ」はそんなところに原因があるのかもしれない。

MAG2NEWS特異現象捜査部は、今後もこのポスターの謎を追いかけていく予定だ。有力な情報があれば、ぜひ編集部までご一報いただきたい。

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