二階元幹事長「不出馬」で“お咎めなし”の茶番劇。岸田独裁体制に利用される自民ウラ金問題イカサマ処分の本末転倒

2024.03.27
 

クリーンな岸田首相が悪党の安倍派を成敗という「絵づくり」

まず、処分対象の選び方が極めて恣意的だ。

処分の焦点となっているのは安倍派幹部である。裏金事件を自民党全体の問題から「安倍派問題」に矮小化させ「クリーンな岸田首相が悪党の安倍派を成敗する!」という「絵づくり」を画策しているように見える。実際、朝日新聞の22日朝刊に、岸田派中堅議員のこんな言葉が紹介されていた。

「(安倍派)幹部だけでいいから『離党勧告』などの厳しい処分を下して『罪人は追放しました』と訴えないと収まらない」

同じ日に同党の茂木敏充幹事長は、金沢市で記者団に対し、処分について「上に甘く、下に厳しいことにならず、責任ある立場の方に厳正な対応ができる形を取りたい」と語った。

一体どの口が言っているのだろう。安倍派幹部をかばう気持ちなどさらさらないが、岸田首相も茂木氏も、彼らを「成敗」できる立場にあるのか。

岸田派は3年間で3,059万円にのぼる派閥のパーティー収入を政治資金収支報告書に記載していなかったとして、元会計責任者の有罪が確定した。茂木氏の資金管理団体から寄付を受けている政治団体では、3年間で約9,400万円にのぼる使途の詳細が不明な支出があったと報道されている。

不祥事に手を染めた可能性が高い党幹部が、その真相を解明することもなく、所属議員を「罪人」呼ばわりして追放するのは許されない。国会で求められている証人喚問などの場に積極的に応じ、事件の全真相を明らかにした後で、最後に行うのが処分であるべきだ。「4月上旬」などと早まる必要は全くない。

真相解明の結果次第では、岸田首相と茂木氏への重い処分が求められる可能性もある。それを行わずに自らが単なる「処分する側」にとどまるなら、それは卑怯というものだろう。

何より「恣意的な処分」は、結果として岸田首相の党内基盤を強める、つまり「焼け太りになる」可能性を拭いきれない。

自民党の処分は党規約に基づく8段階のうち、4番目の「選挙における非公認」や3番目の「党員資格停止」が焦点となっている。「重い処分だ」と安易に歓迎すれば、岸田自民党を「強くする」ことに手を貸すことになりかねない。

例えば「選挙における非公認」だ。処分された議員はおそらく、公認がなくても無所属で立候補する。比例代表での復活当選の可能性を失うリスクはあるが、当選すれば「みそぎは済んだ」として、頃合いを見て復党させることは可能だし、その時には彼らの党内での影響力は大きく削がれているだろう。落選しても首相から見れば「目障りな存在が消えた」だけであり、下野でもしない限り(少なくとも首相は今、それを想定していない)、痛くもかゆくもないはずだ。

仮に岸田首相が、非公認にした議員の選挙区に、次期衆院選で公認候補、いわゆる「刺客」を立てたとしたら、メディアは「非公認候補vs刺客の仁義なき戦い!」をこぞって盛り上げるだろう。小泉純一郎首相(当時)が2005年に仕掛けた「郵政選挙」をなぞる展開になるわけだ。野党の存在はかすみ、どちらが勝っても岸田首相に損はない構図が生まれる。

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