二階元幹事長「不出馬」で“お咎めなし”の茶番劇。岸田独裁体制に利用される自民ウラ金問題イカサマ処分の本末転倒

2024.03.27
 

「派閥解散祭り」に続く「大物議員処分祭り」に踊らされる国民

こんなことを書いていたら25日、二階俊博元幹事長が「次期衆院選への不出馬」を表明した。二階氏は裏金事件で、自らの派閥の二階派から受け取った約3,500万円あまりを政治資金収支報告書に記載しなかったとして秘書の有罪が確定し、派閥の元会計責任者も在宅起訴された。個人別の不記載の額は党内で最多だったはずだ。

85歳の二階氏が次期衆院選に出馬しないことは、政界ではほぼ織り込み済みだったはず。その「既定路線」を表明しただけで、岸田首相は処分を「お目こぼし」するのだろうか。

さて「非公認では軽すぎる」という世論が高まり、処分の焦点が一段高い「党員資格停止」となれば、総裁選での投票に直接影響を与える恐れもある。処分が真相解明の結果を受けて、明確な基準に基づき行われたのならいざ知らず、恣意的な形で行われるなら、どんなに否定してもその可能性はずっとつきまとう。

裏金が国政選挙や地方選挙における買収に使われ、選挙結果がゆがめられた可能性さえ指摘されているなか、自民党は自らの党の総裁選まで結果をゆがめようというのだろうか。

少し前の「派閥解散祭り」もそうだったが、「大物議員処分祭り」のような派手な動きに踊らされるのは残念だ。窮地に陥った自民党がどんな手段で起死回生を図るか、さまざまな例を思い出せるはずだ。自民党の「やってる感」に振り回されるのは、いい加減卒業したい。

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尾中香尚里

プロフィール:尾中 香尚里(おなか・かおり)
ジャーナリスト。1965年、福岡県生まれ。1988年毎日新聞に入社し、政治部で主に野党や国会を中心に取材。政治部副部長、川崎支局長、オピニオングループ編集委員などを経て、2019年9月に退社。新著「安倍晋三と菅直人 非常事態のリーダーシップ」(集英社新書)、共著に「枝野幸男の真価」(毎日新聞出版)。

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