だが日本の視点からすれば、いかに「一帯一路」で関係が良くなっても、南シナ海であれだけフィリピンと激しくぶつかれば中国を脅威と考える国が少なくなく、「同盟」などさらにピンとこない。このギャップを埋めるのは接している情報の違いにあるのだろう。
例えば、中国『環球網』の3月19日の報道だ。フィリピンの仁愛礁(セカンド・トーマス礁)を巡る対立を扱った記事だが、宣伝戦に大きく切り込んだ内容だった。きっかけはフィリピン側がCNNの記者を船に乗せ現場をライブで報じさせたことだ。
記事では、米メディアの報道をフィリピン国内で上手く拡散させる装置に注目している。対象となったのはラップラー、ベラファイル、フィリピン報道調査センターなど。彼らは「独立系」と呼ばれるメディアだが、実はアメリカの紐付きだと『環球網』は断じる。以下、少し長いが当該の部分の抜粋だ。
(彼らは)「独立」を謳いながら、裏でアメリカの財団やCIAからの資金支援を受けていることは、地元のメディアによって明らかにされている。
2019年にはラップラー、ウィラ・アーカイブ、フィリピン・プレス・サーベイ・センターの記者がCIAから報酬を受け取っていたという問題が浮上。これが刑事罪の対象になる可能性も指摘された。この過程で明らかにされたのは、CIAがアメリカの全米民主主義基金(NED)を利用して資金を調達し、上記メディアや機関がNEDからの多額の資金援助を受けていたことだ
つまり、現地やASEANの国々では日本とは違う視点での報道も少なくないのだ──(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2024年3月31日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
この記事の著者・富坂聰さんのメルマガ
image by:SPhotograph/Shutterstock.com